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トヨタ2000GTやVWビートルが最新技術で蘇る! いま旧車のEV化が注目されるワケ

十年以上前から存在している旧車のEV化

 いま現在はCOVID-19(新型コロナウイルス)への対応が急務となっているが、そもそも世界的に環境問題の課題は多い。そして、COVID-19によるロックダウンなど経済活動を減速させたことで大気汚染が解決したという声が世界中から聞こえてくる。単純にいえばクルマの利用が減ったことで、都市部の空気がクリーンになったということだ。

 このように排ガスを減らすことのメリットが、実際に見えてしまうと、COVID-19が収束しても、もとのようなモビリティの戻るとは思えない。これまで仕方がないと我慢していたスモッグが、いとも簡単に解決できることが明示されてしまったからだ。

 当然、自動車はゼロエミッション(排ガスを出さない)の方向に加速することだろう。いくらLCA(ライフサイクルアセスメント)でのCO2排出量でいえばエンジン車とEVは大差ないと主張しても、民意が目の前のクリーンな大気を、あえて汚すことをヨシとするとは思えない。そうなると黒煙を吐き出す古いディーゼルや、明らかに臭いのキツイ排ガスを出す旧車は目の敵にされることが容易に予想される。

 では、旧車は少なくとも路上からは消え去るほかないのだろうか? じつは「EVコンバート(コンバージョンEV)」というサバイバル法がある。

コンバートEVは珍しくはない

 エンジンや燃料タンクを降ろし、かわりにバッテリーとモーターを組み込むことで、旧車の見た目やテイストは守りつつ、環境に対応したゼロエミッションのEVに変身させるというカスタムは、十年以上前から存在しているのだ。

 国内でも豊富なノウハウを持った専門業者を見つけることはできるし、実際に愛車をEVにコンバートして楽しんでいるユーザーもけっして多くはないが存在している。夢物語ではなくリアルな手段なのである。

 また、エンジンなどのパーツが手に入りにくい旧車であれば、中身を最新の電気駆動系とすることで、パーツの入手性が上がるのもメリットだ。さらに、きちんと改造申請をして登録すればエコカー減税の対象となり、旧車増税から逃れることもできる。

 市販EVが増えていることも追い風となりつつある。国産のEVといえば日産リーフくらいしか選択肢はないが、数が増えれば事故車も増えてくる。つまり、駆動モーターやバッテリーといった部品取りに使える個体も増えてくるのだ。

 とくにメーカー製の市販EVが積むリチウムイオン電池は高性能で、その価値を考えると事故車の取引相場はバーゲンプライスなこともあるという。そうした部品流用で、旧車のコンバージョンEVの性能を上げることができることも期待できる。

市販EVが増えることもプラス

 さらに、コンバージョンEVといってもしっかりとした技術があれば急速充電に対応したシステムを組むことは可能。市販EVが増えることで急速充電インフラが整備されれば、EV化した旧車もそのメリットを享受することができ、利便性を確保することができる。

 というわけで、大事な旧車をEV化して楽しむオーナーは増えていくのではないだろうか。もっとも、EV化によって重量バランスが変わってしまいハンドリングに影響したり、衝突安全性にも影響が出たりすることもないとはいえないので、そうした部分までしっかりとカバーしたクルマづくりは大切だ。

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