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成功も失敗もあるけど全世代ホンダイズム全開! 走り屋の心を虜にしたCR-Xの偉大さ

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TEXT: 御堀直嗣(Mihori Naotsugu)  PHOTO: ホンダ、Auto Messe Web編集部

明るい太陽の下で爽快な走りを楽しむデルソル

 90年には、初代NSXが誕生する。60年代のS800以来、久しぶりにホンダのスポーツカーが隆盛を見せた時代であった。

 一転して、90年のバブル経済崩壊を受けて登場することになる3代目は、ひたすらスポーティさを求めるのではなく、快く運転を楽しむクルマとして転身をはかった。車名も、CR-Xデルソルとなり、スペイン語で太陽を意味する愛称が付けられた。

 言葉通り、電動で屋根をトランクに収納できる機構を備え(手動で取り外しする仕様も設定された)、オープンエアを楽しむクルマになったのである。

 エンジンは、引き続きVTECのDOHCも設定されたが、車両重量が1トンを超えるようになり、運動性を追求したクルマではないことを体感させた。

 初代が軽さを活かした速さ、2代目が高性能エンジンのもたらす速さを印象付けたのに対し、3代目では壮快さも速さも悪くはないという程度に収まり、すでに誕生していたマツダのロードスターのようなオープンカーでもなく、位置づけがやや曖昧になったことは否めない。

 屋根の自動収納機構は、ホンダらしい独創的な仕組みで構成され、開閉の稼働を見るだけでも一見の価値はあったが、タルガトップ的に屋根を外すだけではオープンエア感覚も限定的にならざるをえない。そしてこの3代目で、CR-Xは終わる。98年の生産分を売り切ったところで、販売が終了した。

 それから10年以上を経た2010年に、CR-Zが登場する。ホンダが1999年に初代インサイトで開発したIMA(インテグレーテッド・モーター・アシスト)と呼ばれるハイブリッドシステムを搭載したハイブリッドスポーツで、エンジン車はない。

 IMAは、ガソリンエンジンを主体としたハイブリッドシステムであり、モーターはエンジンの補助でしかない。

 CR-Z登場の3年後に、i-DCDと呼ぶホンダの新しい小型車用ハイブリッドシステムがフィットに搭載された。このシステムは、エンジンと変速機とモーターを巧みに制御し、走りの壮快さと燃費をいっそう強化した技術であった。後日、その複雑さ故リコールの対象となるのだが、このi-DCDがCR-Zに搭載されていれば、ハイブリッドスポーツとしての魅力は一層高まったのではないか。

 ハイブリッドスポーツといいながら、ほぼエンジン車の運転感覚であったCR-Zはやや中途半端な商品性にとどまり、これも17年1月に販売を終えるのである。 NSXを除き、ホンダが軽自動車のN360から駆動系の基本としてきたFFによる走りの追求は、どこかで限界を迎えざるをえなかったのではないか。今年、電気自動車(EV)のホンダeが発売される予定だ。これは、後輪駆動である。

 EVであれば、前輪駆動も後輪駆動も、そして4輪駆動も自在にパッケージングを変えられる。EVスポーツとして、CR-Xが後輪駆動で蘇ったら、それはかなりの衝撃ではないだろうか。モーター走行なら、出足の強烈さと、加速の伸びやかさによって、コンパクトスポーツとして十分な魅力を発揮するだろう。

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