スポーティという共通点を持たせつつ、それぞれ異なるコンセプトで開発
クルマをカスタマイズする時は、アフターパーツメーカーのアイテムから気に入った商品を選び、取り付けていくのが一般的。パーツ選びで重要視するポイントは、人によって大きく違う。価格で選ぶ人もいれば、デザインや機能性を重視する人もいる。買ってから失敗することは絶対に避けたいところ。
特にクルマを新車で購入した人は、取り付けるパーツによっては車検に通らなかったり、整備や定期点検などでディーラーに入庫できなかったりするリスクもある。せっかく新車で買ったのに、ディーラーの恩恵を受けられなくなるなんて実にもったいない。
安心してカスタマイズしたいならワークスチューナー、いわゆる自動車メーカー直属ブランドのパーツを選べば間違いない。最大のメリットは、ディーラーで購入できること。各パーツは車検適合を遵守して設計・開発しているため、原則的にはパーツを装着したままディーラーに入庫できる。
今回は日産にクローズアップして、全国の日産ディーラーで取り扱っているニッサン・モータースポーツ・インターナショナル(以下NISMO)とオーテックジャパン(以下オーテック)の2ブランドを解説・比較したいと思う。
ピュアスポーツを全面に押し出した走りのNISMO
日産の子会社であるNISMOは、1984年に設立。その前身は、日産宣伝部のワークスチームとしてレーシングマシンの製作・参戦を行っていた大森ワークス。その過去の経験を武器にスーパーGTなど国内外のレースに積極的に参戦しており、そこで得たノウハウをパーツの開発にフィードバックしている。
過去には「NISMO」の名が付いた、日産ディーラーで購入できるコンプリートカーも販売。最も有名なのは500台限定で販売された、R32型スカイラインGT-Rベースの「GT-R NISMO」。また6代目のB12型サニーも、専用のエアロパーツやホワイトメーターなどを装備したNISMOモデルを販売していた。
さらに2017年4月、オーテックジャパン内に「ニスモ・カーズ事業部」を設立。車種ラインアップの拡充や、よりグローバルな市場展開を行い、ブランド力をさらに向上させる。
特装車の企画・製造を主とするオーテック
特装車の企画・製造部門として1986年に設立されたオーテックも、NISMOと同様に日産のグループ企業である。福祉車両やトラックなど実用に特化した車両を開発するほか、既存の車種をベースにディーラーで買える個性的なカスタマイズカーを手がけている。
設立初期はS13型シルビアに電動の幌を採用した「シルビアコンバーチブル」
Y31型セドリック/グロリアの全長をストレッチした「セドリック/グロリアロイヤルリムジン」など、ショーカーレベルのアレンジを加えたモデルの市販化を実現。
スカイラインやステージアなどのスポーツモデルには、自社の名を冠した「オーテックバージョン」を設定。例えば初代ステージアにR33型スカイラインGT-RのRB26DETTエンジンを搭載するなど、本来のラインアップにはない大胆なスペックで特装車メーカーとしての存在感をアピール。
ピュアスポーツのNISMO、プレミアムスポーティのオーテック
それではNISMOとオーテックの違いについて語っていきたい。NISMOは日産のモータースポーツ活動を核としたピュアスポーツ志向のブランド。一方オーテックはこれまでのカスタムカー開発で蓄積した職人のこだわりを発揮した、プレミアムスポーティ志向のブランドである。
実際にNISMOとオーテック、それぞれのコンプリートモデルを販売している車種で比較していこう。例えば人気コンパクトカーのノート。NISMO仕様は同社のブランドイメージカラーである赤をアクセントとして取り入れ、視覚的にひと目でNISMOモデルであることを明確としている。
また専用のエアロパーツは、空力性能の向上を重視してデザイン。足まわりには専用のサスペンションキットやボディ補強パーツを導入し、エンジンも専用のシリンダーヘッドやピストンを採用してチューニングを行うなど(NISMO S)、同社のテクノロジーを最大限に投入して作られている。
一方ノート・オーテックはどうだろう。まず外観はブランドコンセプトに基づき、メタル調の処理を施したバンパーやグリルを採用してプレミアム感を高めている。またボディカラーは既存のバリエーションに加え、オーテック専用色のオーロラフレアブルーパールを設定。内装もシートにブルーのステッチを施すなど、バランス良く差し色をあしらう。
同社は創業地である湘南・茅ヶ崎の海と空を連想させるブルーをプレミアムアイコニックカラーとして、現行のオーテックモデルに採用している。もちろん上質感だけではなく、専用の足まわりやボディ補強パーツ、チューニングコンピューターを装備するなどスポーツテイストも注入する。
【詳しくはこちら】
◆ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル https://www.nismo.co.jp
◆オーテックジャパン https://www.autech.co.jp