チューニングCPUの入門編「サブコン」とは?
では、それぞれどんなパーツでどんな効果があるのか? まずはチューニングCPUからで、中でも3万円ぐらい~で手に入る簡易的な「サブコン」という電子パーツに注目したい。
本体の見た目は手のひらサイズの箱のようなカタチ。それに、配線に必要な専用ハーネスが付属する(別売の場合あり)。サブコンの“サブ”とは“メイン”に対しての表現。メインにも色々な解釈があるが、ここでのメインを純正コンピューター(エンジンコントロールユニット=ECU)とすれば、まさに、それを補助するサブの装置でサブコンピューターと呼ばれている。つまり略してサブコン。
そもそもいまのクルマは、エンジンの出力制御のすべてをECUで行っている。良い意味では車両トラブルを回避したり、省燃費の実現や環境に対する排ガス規制などをクリアするために重要な役割を果たしている。
あえて逆の面から見ると、それらを維持するために本来持っているエンジン性能に対し、かなりのマージンが残っている状態でもある。簡易的なサブコンは純正ECU制御の安全な範囲内でその封印を解いて、トルクやパワーをアップさせることができるのだ。 その封印を解くのがサブコンのなかに仕組まれているマイクロコンピューターだ。サブコンはエンジンに吸入される空気の量を示す吸気圧力センサーとECUの間に割り込ませて装着する。そのセンサーからの圧力信号がサブコンに入力され、サブコン内のマイクロコンピュータープログラムを介してトルク&パワーアップさせる信号に変換され、ECUに渡す仕組みになっている。
「スロコン」とは?
一方のスロコンも業界的には電子パーツの一種。サブコンよりも価格はさらに控えめで、多くは1万円前半~2万円ぐらいで販売されている。スロコンはその名のとおりスロットル、すなわちアクセルペダルの操作感を任意にコントロールできるもの。操作感をパワフル側に向上させたい場合は“スポーツモード”、またその逆も設定可能で省燃費側に振りたい場合は“エコモード”も備えていたりする。 スロコンは、電子スロットル(以下、電スロと略)車に対応。いまのクルマには電スロが採用されていることが多くなってきている。電スロはECUとも密接な関係にあり、ドライバーによるアクセル操作が信号になってECUからスロットルに伝えられ、エンジン出力を制御している。
電スロもまた、誤発進防止の安全面や省燃費を実現させるなど様々なメリットもあるが、ドライバーの体感として、アクセル開度に対してスロットルがリニアに反応しないことがストレスになる場合がある。従来のケーブル式スロットルであれば、アクセルペダルの動きとスロットルの開閉が連動しているのでダイレクトな操作が可能であったのだが……。
スロコンは、アクセルとECUの間に接続。スロコンによって、ドライバーのアクセル操作信号を“スポーツモード”や“エコモード”に変換してECUに伝えることが可能になるというワケだ。スロコンはサブコンのようにエンジン出力自体を変化させるものではなくアクセルレスポンスを変化させるのだが、ドライバーの体感度合いとしては同じような効果が得られるものとして人気が高い。
ちなみにアフターパーツ系チューニングメーカーのブリッツからはこのサブコン機能とスロコン機能が合体した贅沢な電子装置(パワスロ)も販売されている。
トラブルも少なく一般ユーザーにも浸透
チューニングパーツというとマニアックで難しいイメージもあるが、ここでピックアップしたCPUやスロコンは一般的なユーザーにも浸透しつつあり、パーツメーカーの話では「トラブルもほぼありません」とのこと。速く走る必要はなくとも、高速道路や長距離運転が快適になるパーツとして、知っておくといいだろう。
最後に、触れておきたい燃費のこと。パワーやトルク感が向上するのは歓迎だが、燃費が著しく悪くなるのでは? という心配もあることだろう。実際に一般道で使用しているユーザーからは、予想に反して「燃費が良くなった」や「ほぼ変わらない」という声があるのも事実。
スロコンに関しては、“パワーモード”と“エコモード”があるように、シーンに合わせて巧く使い分けることができるので、それを巧く使い分ける事がポイントになりそうだ。しかしながらサブコンやスロコン効果で運転が楽しくなり、ついついアクセルを踏み過ぎの人が多いのも事実。そんな場合は「若干燃費が下がっても納得」と言ったところかもしれない。