海外で人気を誇るピリ辛NISMO車
「NISMO(ニスモ)」といえば、日産の走りの象徴。レースなどモータースポーツシーンで活躍すると同時に、日産車をベースにスポーティなカスタマイズを施した「NISMOロードカー」と呼ぶ市販モデルをリリース。日本では、頂点の「GT-R NISMO」をはじめ、「フェアレディZ NISMO」「リーフ NISMO」「ノート&ノートeパワー NISMO」「マーチ NISMO」そして「ジューク NISMO」などをラインナップして、ディーラーで購入可能である。
しかし、海外に目を向けると、日本では展開されていない海外専用のNISMOモデルが用意されていることをご存知だろうか。今日はそんな海外向けモデルのなかから、日本では購入できない(できなかった)3台の注目モデルを紹介しよう。
1)セントラNISMO
北米で販売している「セントラ」というのはかつて「サニー」の現地での名称だったが、モデルチェンジのたびに車格がアップ。いまではかなり上質な仕立てのCセグメントセダンとして販売されている。日本などアジアで「シルフィ」と呼ばれている車両の現地名でもある。
そんなセントラに2017年モデルから設定されていたのが「セントラNISMO」だ。スポーティなエアロキットを身にまとい、エンジンは188馬力を発生する1.6リッターの4気筒ターボ(「ジュークRS」と同じMR16DDT)。
トランスミッションはCVTのほか6速MTも用意。もちろん、エアロキットはしっかりと揚力を低減、締め上げた専用サスペンションを組み合わせるなど走りシャープに仕上げられていた。ちなみに、登場の背景としては北米においてセダンはスポーティなイメージが大切だという現地事情がある。
しかし、その後セントラはフルモデルチェンジして世代交代。現時点では、新型にはNISMOは用意されていない。
2)パトロールNISMO
世界には、かなり異色のNISMOロードカーが存在する。それが「パトロールNISMO」だ。なんと本格悪路走行向けのヨンクをベースにしたNISMOなのだ。
「パトロール」とは中東で発売されているSUV。かつて日本で「サファリ」として販売されていた車種だが、日本での販売が終了してからも販売が継続され、2010年のフルモデルチェンジで現行型となっている。車体は全長5170mm×全幅1995mmと堂々のフルサイズ。ホイールベースはなんと3mオーバーだ。NISMOへのカスタマイズにあたり、ビルシュタイン製専用サスペンションの装着だけでなくボディ補強も受けている。タイヤは22インチだ。
エンジンは5.6リッターのV8で、ノーマルは400馬力だがNISMOは428馬力までパワーアップ。エクステリアには空力アップのエアロパーツを装着し、ニスモを感じさせるデザインに仕立てられている。
この車両は、日本でも見ることができる。富士スピードウェイにおいて、レース中のアクシデント発生時に現場へ急行する車両として使われているのだ。
3)パルサーNISMO
2014年秋、コンセプトモデルとしてパリモーターショーで公開されたのが「パルサー NISMOコンセプト」だ。パルサー(標準車)のフルモデルチェンジに際して「スポーティモデルとしての可能性を追求」として披露された。
ちなみにちょっと懐かしい名称の「パルサー」とはCセグメントのハッチバックで、かつて日本でもヒットした「ディーダ」の後継モデルに相当。日本での販売終了後も新型を欧州名「パルサー」、アジアでは「ティーダ」として販売している。
このパルサー NISMOコンセプトはメカニズムが公表されることはなかったが、スタイリングは素直にカッコいいと思えるのと同時に市販化が可能と思えるまとまり。このまま市販されるという期待もあったが……結局「コンセプト」のまま市販せずに終わってしまった。
しかもなんと、欧州においてパルサー自体も販売を終了。発売される可能性はゼロといっていいだろう。名前違いの車種として中国などで販売している「ティーダ」をベースとした「ティーダ NISMO」ならあり得なくはないが……。
海外で姿を現した3台のNISMOロードカー。いずれも「すでに販売終了」もしくは「コンセプトだけで市販しなかったモデル」なので、今後日本へ導入される見込みは皆無だ。とはいえ、今後のNISMOロードカーのさらなる発展に期待したい。