ダイムラー・ベンツ社との提携
1980年後半、AMGは日本でも三菱のギャランやデボネアのチューニングを担当した事は有名である。そして1988年、ダイムラー・ベンツ社とAMG社は提携し、パートナーとなってモータースポーツに参加することになった。まずDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)、続いてITC(国際ツーリングカー選手権)、そしてFIA・GTシリーズにも参戦。
AMG社は1992年、1995年とダイムラー・ベンツ社にツーリングカー選手権チャンピオンの座をもたらし、自らの任務を果たしただけでなく、パートナーの信頼を揺るぎないものとした。DTMでは1986年参戦以来160のレースで勝利し、いまなおAMGの3文字はメルセデス・ベンツの最高のレーシングパーフォーマンスを象徴している。特に1980年代末~1990年代初めにかけ、DTMで50勝をあげた190E2.5-16は伝説的存在となっている。
AMGカタログモデルの実現へ
その当時のAMG社は、もうひとつ画期的にマニアックな挑戦をはじめていた。一般のオーナーの量産モデルをレーシングカースタイルに仕立て、公道で走らせてしまうという大胆な計画だ。ヨーロッパでは、すでにスポーティセダンがレース活動をし、しかもメルセデス・ベンツマニアも公道仕様を買い求めていた。これを「高貴なレーサー」と題して、ドイツの専門誌が高らかに報じた。こうした創立時からのAMG社の熱意が、のちに世界中のメルセデス・ベンツオーナーが憧れる「メルセデスAMG」を実現させたのである。