最適な運転姿勢をフォローするバケットシート
クルマを運転していて、腰が痛くなったというユーザーは多い。普段は気にならない人でも、長時間の運転となると疲労が蓄積し、休憩を挟みたくなるだろう。その疲れや腰痛の原因として、実はシートそのものと運転姿勢が大きく関係しているのだ。
ご存知のようにクルマのシートには調整機構があり、ドライバーの体格に応じて最適な運転姿勢がとれるようになっている。正しい運転姿勢は教習所で習ったことと思うが、ここで復習しておこう。
スタート前の前提「イチニについて、ヨーイ!」
◆座面はシート奥まで隙間なく深く腰掛ける。
◆角度が寝過ぎないよう、適度な背もたれ角にする
◆ブレーキを強く踏んだ際、軽く膝が曲がる程度の位置にシートのスライドを合わせる
◆両手でハンドルを握り、腕が軽く曲がる程度の操作しやすい位置にテレスコピック(ハンドルの前後調整)を合わせる。※背もたれ角でも調整する
大多数の人がこれで正しい運転姿勢を得られるのだが、日本人には小柄なドライバーも多い。そのため、国産車の純正シートは足を伸ばしてペダルに届きやすくするために、座面前方がなだらかに設計される傾向があるのだ。座面前方がなだらかだと、運転しているうちに着座位置が前方へズレやすく、背中はどんどん猫背になってしまう。その崩れた姿勢こそが腰痛や疲れの原因になっている。
そもそも背骨は、立った際に横から見てS字になるのが自然で疲れない姿勢とされており、座ってC字を描く時点で腰椎や骨盤に負担がかかっている。猫背になるほど腰痛のリスクが高まるので、普段から正しい運転姿勢を心がけることが大切なのだ。
とはいえ、前述したように国産車の純正シートは着座位置がズレやすいうえ、背もたれの形状や角度によっては猫背が解消できない状況もある。これに振動や衝撃が加わることで、腰痛を発症してしまうのは避けられないとも思える。
ドライバーを支えてくれるから頼り甲斐あり
そこで注目したいのが、市販のバケットシートだ。バケットシートといえばレーシングカー専用の包み込まれるシェル形状を連想するが、それは競技用の『フルバケットシート』と呼ばれるもの。
一般ユーザー向けには『スポーツシート』や『セミバケットシート』と呼ばれるリクライニング機構付きモデルが普及しており、優れたホールド性によって適正な運転姿勢を維持することができる。車種ごとに専用のベースフレームがあり、これと組み合わせることで車検対応となる製品が人気の主流といえるだろう。
デザインやカラーも多種多様で、ユーザーの好みで選べる点はカスタマイズとしてもアピールできるポイント。車内空間の問題さえクリアすれば、ベースフレームを交換しつつ、クルマを乗り換えても気に入ったシートを使い続けられるメリットもある。座面のサイドサポートを控えて乗り降りしやすくしたミニバン対応モデルや軽自動車に装着可能なスリム設計など、現在のバケットシートのラインアップはかなり充実!
身体がフィットするシートに交換することで、腰痛をはじめとする運転の疲労を大きく改善することができるのだ。