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「リトラ・ミッド・ガル」こそがスーパーカーの証! ライト改造で「本来の姿」を手に入れたAZ-1が違和感なさすぎる

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TEXT: AMW 米澤 徹(YONEZAWA Toru)  PHOTO: 自工会、米澤 徹

納車日は忘れもしない大雪の日

 あれから20年の月日を得て、出会いは突然やってきた。新車から所有しているユーノス・ロードスターを茨城県の金属加工屋さんに預け、代車の軽トラックで帰路につく高速道路のできごとだった。

 「いまどきの軽自動車は走行性能に不満や不安を感じないな、と思っていたその矢先、クルマの脇をAZ-1が追い抜いていったんです。見た瞬間にピン! ときて。今乗らないと一生乗れないと思いました。軽トラに乗ったことで見初めちゃいましたね(笑)。家に帰って中古車雑誌やネットサーフィンをして、後日、中古車屋に足を運びました。現車を確認しに行ったら実車は画像で見るよりも、綺麗で即決しました」。

 晴れてオーナーになった日は今でも忘れない首都圏で大雪となった2013年1月14日だという。

クシャミすらできない過激なハンドリング特性

 いざ乗り込むとファニーフェイスなフロントマスクからは想像できない走りをみせる。ミッドシップにマウントされた660cc直3ターボエンジンからのパワーは当時のメーカー側の自主規制で64馬力ではあったものの、車重が760kgと軽くあって、とにかく軽快だ。

 ロック・トゥ・ロック(ハンドルの端から端までの回転数)が2.2と小さいため、高速道路のカーブではクシャミができないほどのハンドリング特性を持つ。発売当時のキャッチフレーズ「未体験ハンドリングマシン」という言葉がピッタリだと、齋藤さんは自分の手でステアリングを握り感じた。

ロードスターのパーツから思い浮かんだアイデア

 運転の楽しさにかまけて当時の夢だった『リトラクタブル化』を先延ばしにしていたわけではない。
「いつか、いつか……と思っているうちに購入から3年も経ってしまって。ドナーとなるライトユニットが見つからなかったんです」。

 そんなある日、一本の情報が飛び込んできた。初代ロードスターから2代目に乗り換えるオーナーが予備で持っていたパーツを放出すると聞いて、もしかしてAZ-1に装着できるのでは? と思いついたという。その日から『リトラクタブル化』計画は動き始める。

 交友関係からロードスターのヘッドライトユニットをモーター付きで入手したまではいいが、問題はどこで加工をするか。頭を悩ませていたとき、再び考えついた。オートバイにも乗り始めていた齋藤さんは、以前からお世話になっていた、FRPの加工を得意とするTRAP(トラップ)さんに持ち込み、相談をすることにした。

 早速、現物合わせで大まかな話が進み、加工へと取りかかった。仮設置予定の位置決めやヘッドライトを固定する部材を新造。仮組みで手動動作シミュレーションを行い、周辺部品や既存部品の取り回しを検討。徐々に作業は進んでいった。

 既存モデルは正面に向かって右側に設置されるウインドウウオッシャータンクとリレー配線が邪魔になり、リトラクタブルヘッドライトのモーターが設置できないことが判明。

 そこでTRAPさんは齋藤さんと相談し、新規で移植の設置場所を新たに確保することにした。ヘッドライトの装着に関して言えば「配線などは構造さえ把握していれば意外とスムーズに作業ができました」という。

 紆余曲折を得たAZ-1は、2017年2月に晴れてリトラクタブルライトを装着したAZ550スポーツタイプ仕様となったのである。製作期間は約3ヶ月、費用は50万円ほどだったという。

「クルマを走らせていると散歩中の保育園児からは指を差されてみんな笑っています。僕もヘッドライトをパカパカさせてお礼をするんです。幼少期の頃に見たカウンタックの衝撃をAZ-1で何かしらの刺激になればいいなと思っています」。

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