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故障と無縁と思っている90年代車も立派な旧車! 定期メンテ必須の10のポイントとは

積極的なメンテがコンディション維持の秘訣

 クルマというものは機械である以上、乗りっぱなしでは調子を維持できない。今なんの問題もなく乗れている新型車だって、いつ不具合や不調が出るかはわからない。メンテナンスさえしていれば、そんな異常を予防できたり、故障する前に気が付くことができるかもしれない。

 ネオクラシックとして人気が高まっている90年代の車種も含め、旧車となればよりメンテナンスに気を使わなといけないのは当然のこと。旧車ならでは機能や装備など、今のクルマにはない要整備箇所もあったりするから尚更注意が必要だ。

 だからこそ愛着も湧くということもあるが、今回は過去に取材した内容や自身の整備経験などから、旧車ならではのメンテナンスポイントを見ていくことにしよう。

1)油脂類

 エンジンオイルを交換するのは当たり前。ミッションオイル、デフあたりにも意識はいくだろう。それ以外にも油脂類は使われていて、例えばパワステも、今でこそ電動のクルマが多くなったが、当時は重ステを除くすべてのクルマが油圧式。そのオイルを交換するとステアリング操作が軽くなるだけでなく、各部に使われているシールの寿命 が伸び、ありがちなリザーバーやラックからのオイル漏れも防止できる。

 さらに1970年ぐらいまでのクルマではグリースアップも必要で、ステアリングやサスペンションまわりにあるグリースニップルからグリースを注入して、古いのを押し出してやらないとガタなどが発生しやすくなる。

2)足まわりのガタ

 最近のクルマでも走行10万キロぐらいに達したら、ブッシュを交換すると元に戻ってリフレッシュというのはよく聞く話。実際は旧車でも交換していないクルマは多くて、潰れてハミ出ていたり、目で見ただけでヒビ割れていたりするなど、かなり深刻なことがある。

 ただこれだけではない。ガタでいうと、操舵系に使われているボールジョイントは深刻な部分。高くても純正部品が見つかれば良いが、入手不可のことも多くて悩んでいる人は多い。かしめたりしてオーバーホールも可能だが、新品のようにはならないのが実際のところ。こちらもグリースアップで延命を図れる。

3)ブレーキの固着

 旧車向けのパッドも増えているだけに、表面的なメンテナンスに目が行きがち。しかしマスターシリンダーやキャリパー、ホイールシリンダーの固着などで、根本的な部分がメンテ不良になっている車両は多い。カップなどのゴム類を硬化して元に戻ればいいが、内部が虫食いで使えないこともあるので、そうなると費用も手間もかかる。

4)ワイヤー類

 アクセルやサイドブレーキ、一部車種ではクラッチに加えて、メーターケーブルもある。もともと意識が及びにくい部分だけに、外してみると動きが渋くて、正常な動きをしていないことも多い。製造中止にもなりやすいので、内部洗浄&給油で延命を図るか、長く乗るならワイヤーは部品があるうちに交換しておくのがベターだ。

5)電気系

 言葉は悪いが古くなるとどんどん腐っていく。端子はサビや腐食で導通不良、コードの皮膜は硬くなって、スパゲッティみたいにポキポキと折れることもある。全部を点検するのは難しいが、ヒューズボックスやインパネ裏など、大きなところはチェックして磨くなりする。ひどい場合はハーネスを全交換したほうが結局安くて安心だが、こちらも製造中止となるのが早い部品となる。

6)水まわり

 現在のエンジンはブロックもアルミ化されているので腐食しにくい。旧車は鉄ブロックが当たり前で、冷却水は車検ごととかに交換しないと内部にサビが発生して堆積。ラジエータにも詰まってオーバーヒートにつながることも珍しくない。出てしまったサビを除去するのは非常に難しいが、サビが出始めてすぐなら対処できる可能性が高い。

 オーバーヒート気味だからといって、ラジエータをコア増しするなどの対処療法は行なわず、まずは洗浄してからの話。これはよく言われることだが、「旧車だって当時は普通に使われ、問題なく走っていた」のだ。“旧車だからこんな程度”では当時の人々も困るだろうに…。

7)点火系

 点火系で消耗品といえるような物は今ではプラグぐらいしか残っていないし、こちらも超ロングライフ化が進行中だ。一方1990年代までの車両の場合、点火系は消耗品の塊。ローター、キャップ、ポイントのディスビ3点セット(ポイントはもっと古いクルマだが…)。さらに言えばディスビ自体も消耗品だ。プラグコードは被膜が硬化してリークしたり、高電圧を発生させるイグニッションコイルも劣化はする。プラグも当然消耗品で、マメな点検とケチらず交換するのが正攻法。

8)燃料系

 今やバイクでも絶滅状態のキャブレターは、季節ごとの調整が必要。過走行車だと調整では元に戻らず、オーバーホールも必要なこともある。また当時の燃料タンクは鉄製ゆえ、サビが大量発生してキャブに詰まって、そうなると当然走りも不調に。ちなみにタンクがダメだと手間も費用もかなりかかるので要注意なのだが、それだけに旧車販売店や整備工場は手を出したがらない。購入するときのチェックポイントでもある。

9)ボディ

 ボディもメンテナンスが必要と聞くと驚くかもしれないが、塗装の劣化を防止するためにワックスをかけるのも立派なメンテ。見た目だけでなく、機能的にも重要なのが、旧車のワックスがけだ。さらに下まわりは点検して、サビが出ていないかを確認。アンダーコートが剥がれていれば補修しておく。またサイドシルやドアなどには、ボディ上から伝ってきた雨水を抜く水抜きの穴があることが多いが、もし詰まっていたら棒などで突っついて取り除いておこう。

10)エアコン

 その昔は正確にはクーラーだったが、いずれにしても冷え具合を確認。ガスも漏れるので補充が必要となるが、問題はガスの種類。R134aというのが最近の規格だが、旧車の場合はR12というものを使っている。冷えは良いのだが、オゾン層への影響が深刻で現在入手は困難。代替フロンやシール交換などいろいろと手はあるが、いずれにしても手間も費用もかかる。

 以上、ざっと旧車のメンテでの10のポイントというかパートを紹介したが、走行距離だけでなく、時間でもクルマは調子を崩していくことを忘れないようにしてほしい。ここまで読んで手間がかかりすぎると思うかもしれないが、これが旧車を維持するということ。自分でできる部分も多いので、トライする際は手順や内容をよく吟味してから行なおう。とくにネットの情報は武器にもなるが、根拠がないものもあることを忘れてはいけない。

 最初から程度の良いものを買うというのも手ではあるが、このように軽く挙げただけでもこれだけポイントが出てくるわけで、ちゃんと手を入れているかというのが重要になってくる。

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