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クルマの改造はマニアのものという時代は終わった! いま続々登場するメーカー公式「ワークスモデル」が買いな理由

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TEXT: 小鮒康一(KOBUNA Koichi)  PHOTO: トヨタ自動車、日産自動車、オーテックジャパン、本田技研工業、SUBARU、ダイハツ工業

万能なワークスモデルという選択

 愛車をコツコツと自分好みのスタイルにカスタマイズしていくという行為。クルマに興味のない人からしてみれば理解しがたいものかもしれないが、クルマ好きであればその気持ちは共感できるものに違いない。自分の思うようにドレスアップやチューニングをして理想の一台に仕上げる楽しみは、単にクルマを購入して乗っているだけでは決して味わえないこと。

 しかしクルマのカスタマイズは必ずしも1+1が2になるわけではなく、パーツ同士の組み合わせによってはノーマル状態よりも性能が低下してしまう可能性のある非常に難しいものである。それがまたカスタマイズの醍醐味でもあるのだが…。

 もちろんカスタマイズ自体は自己満足の世界であるから、違法改造にならない限りはどんな組み合わせをしたとしても自由であることは間違いない。が、つい価格だけに釣られて粗悪品を選んでしまったり、そのクルマに適切でないパーツを取り付けてしまった場合は、ポテンシャルアップどころか時間とお金の両方を浪費してしまうことも有り得るということを頭に入れておいたほうが良いだろう。

 そんなとき選択肢のひとつとして考えられるのが、いわゆる“ワークスモデル”というものだ。ここでいうワークスモデルとは、メーカーが最初からベース車両にカスタマイズを加えてリリースしたものを指す。

各自動車メーカーがワークスモデルを設定

 ワークスモデルとひと口で言っても、トヨタのGR(ジーアール)や、ニッサンのNISMO(ニスモ)、ホンダのModulo X(モデューロエックス)のように、カタログモデルとして設定されているものから、スバルのSシリーズや、トヨタのGRMN(ジーアールエムエヌ)のように台数限定でリリースされたものまで幅広く設定されている。なかには中古車市場でプレミアが付いているものも少なくないが、果たしてこれらは“買い”なのだろうか?

 結論から言ってしまえば、新車で買うのであれば大いに“買い”である。メーカーが考えに考え抜いたカスタマイズが施されているワークスモデルであれば、完成度は言うまでもないが、すべてにおいて通常の新車と同等の保証が付いているという点も見逃せない。

 そしてコスト面でもワークスモデルは群を抜いて優れている。例えばニッサン・マーチNISMO Sでは、ノーマルモデルには存在しない1.5リッターエンジンと5速MTが搭載されているが、もし通常のマーチを買ってきてエンジンとミッションを載せ替えて、その他の専用パーツを組み込むと考えるとその交換費用だけでマーチNISMO Sが買えるほどの費用がかかって可能性も大いにある(もちろん載せ替えではメーカー保証外となる)。

 そう考えると、完成度もコストパフォーマンスも保証の面でもワークスモデルは“買い”と言えるのである。

中古のワークスモデル購入時は価格に注意

 しかし中古車の場合は、限定車などで当時の新車価格を上回る価格で取引されている個体は判断が難しい。

 例えば2019年に350台限定で販売されたトヨタ・マークX GRMN(販売終了)は新車価格513万円に対し、編集部が調べた中古車相場だと走行距離1000kmの個体で629万円、走行距離690kmの個体だと649万9000円(いずれも車両本体価格・消費税込み)となっている。低走行の新古車とはいえ、新車よりも2〜3割増しのプレミア価格で売られているのだ。

 基本的な完成度は中古車でも劣ることはないが、あまりにプレミア価格が乗っているようだとコストパフォーマンスの面ではオススメとは言いにくくなってしまう。

 もちろんそこまでプレミア価格が付いているものであれば、大切に維持していくことで資産となる、という考え方もある。

 ただ、単純にワークスモデルならではのポテンシャルを満喫しようと考えているのであれば、あまりに高値となっているものは避けた方が賢明だ。

 本来、走るために生み出されたはずのワークスモデルにも関わらず、投機目的で塩漬けされてしまうのではあまりにも悲しすぎる。できることなら本当に欲しいと思うユーザーに適正な価格で渡るようになれば最高なのだが、現実はかくも厳しく難しいものである。

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