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メッキも形もアリじゃないか! オシャレな「鉄バンパー」が消えた理由と復活できない事情

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TEXT: 近藤暁史(KONDO Akifumi)  PHOTO: FCA、トヨタ、Auto Messe Web編集部

プレスで打ち抜いてメッキをかけるだけだった

 旧車の魅力のひとつが、スチール製バンパー、通称「鉄バンパー」だろう。クロムメッキがかけられてピカピカと輝いているのは、今のクルマにないポイントだ。しかし、贅沢であることは確かで、そもそもなぜスチール製だったのだろうか。

 まずは衝撃吸収力をリアルに期待していたから。もちろんステーを介してボディにネジ留めされているだけでそれほどの能力はないし、ぶつかればメッキがハゲることもあったが、ボディとは別に独立しているというだけでも意味があった。障害物を早めに感知するという点では、飛び出て付いているスチール製のバンパーは機能は果たしていた。

 実際、5マイルバンパーは、北米の法規に由来するもので、5マイル以下、つまり8km/h以下でぶつかっても衝撃を吸収する構造だった。また、縦方向のパーツを別途付けて一部だけを保護するオーバーライダー、通称『鰹節』を付けたり、分割にしてみたりと、いろいろなバリエーションが存在した。一番の理由としては、技術的にスチールが一番適していたというのはある。プレスで打ち抜いて、メッキをかければいいので簡単に作ることができた。

 もちろんクルマのデザインがスチール製のバンパーにマッチしていたというのはあるだろう。2代目マークllのように両サイドを跳ね上げにしてみたりと、いろいろなアプローチで個性を演出したし、実際にクルマの顔をキメる大きな要素だったのは確かだ。

 過渡期にも注目。1990年頃になると別体形状でボディに付けた感が強かったものの、素材だけは樹脂へと変更されていたし、一部だけ角の部分を樹脂で覆ったりもした。すぐに真っ白になってしまう黒い樹脂バンパーが登場したのもこのあたりだ。

 樹脂が普及したのは、型に溶かした樹脂を送り込む射出成形の技術が普及したなどによる。この時代はデザイン的にはそれまでのモノを捨てきれないが、素材は新しくなったと言ってよく、だから過渡期となる。

 その後、樹脂が普及するとボディ全体をひとつの塊としてデザインするモノフォルムが普及して現在に至る。実は保安基準的には素材や形状は定められていないので、鉄でも樹脂でもどちらでもいいのだが、歩行者に対する被害軽減まで配慮する現在では鉄はとりあえず危険。

 デザイン的にも現在のモノフォルムでバンパーが鉄にするのはできるだろうが、車種にもよるがそこだけメッキというのも恐ろしく変だろう。

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