広大な荷室空間は絶対条件
キャンプ、そしてグランピングの人気が高まっている。しかしながらすでにキャンプを楽しんでいる人も、愛車にキャンプ用品が思うように積めない、なんていう悩みを持っていたりはしないだろうか。また、これからキャンプを始めようとしている人にとっては、どんなクルマが適切かも知りたいはずだ。
そこで、キャンプに適したクルマの選び方を4つのポイントに分けて解説したい。
1)乗員と荷物をしっかり乗せられること
当たり前だが、キャンプというのは、ホテルに軽装で泊まりに行くのとは違い、テント、テーブル、椅子、BBQコンロ、食材、洗面&就寝用品、着替え、遊びグッズなどけっこうな荷物をクルマに積み込むことになる。そのほかに趣味のアイテムもあるだろうから、ラゲッジスペースの容量、積み込みやすさがポイントとなる。
もちろん、乗車人数も荷物の積載性に大きくかかわってくる。夫婦やカップル、友達同士の2人乗車なら、後席と後席の足元まで荷物スペースに活用できるから、軽自動車やコンパクトカーでも2名分のキャンプ用品を積み込むことはさほど問題にならない。
が、3~4名乗車となると後席を100%荷物スペースとして使えず、ラゲッジスペースの容量の大きさが決め手になる。ただし、ミニバンなら、3列目席を格納した拡大ラゲッジスペースが使えるから、最大5名乗車でのキャンプが可能になる。
そこで、キャンプ用品の積みやすさで選ぶなら、まずはデリカD:5が筆頭に挙げられる。実際、三菱自動車主催のキャンプイベントに行くと、アウトランダーももちろんいるが、圧倒的に多いのはデリカD:5なのである。2列目席以降の室内空間の圧倒的広さに加え、室内高にも余裕があるのがポイントで、ミニバンの皮を被った本格SUV的キャラクター、走破性の高さもあって、キャンパーに圧倒的支持を得ているのである。
デリカD:5の荷室は、開口部地上高が約620mmとワゴン並みに低く、幅約890~1250mm、3列目席格納奥行約1200mm、2/3列目席格納奥行約1610mm、そして最小天井高1135mmと広大。4WDにしてフロアが低い分、床下収納はないものの、小さな引っ越しができるほどの大容量の荷室空間の持ち主だ。かなりデラックスにキャンプを楽しむ場合でも、デリカD:5ならOK。もし、デリカD:5で積みきれないというなら、それは無駄なものが多すぎると考えたい。
もちろん、アルファード&ヴェルファイアやノア&ヴォクシー、ステップワゴン、セレナなどのミニバンでも、3列目席を格納すれば広大な荷室空間が出現するが、後述する悪路走破性や都会っぽいキャラクター的に、デリカD:5が一歩リードしてしまうのだ。
SUVではRAV4もお薦めだ。パッケージング的にも実際の使い勝手を参考に、「後席より荷室の容量、使い勝手にこだわった」と説明されるぐらいで、上下2段で使える便利なデッキボード下位置の容量は580Lとクラス最大だ(CR-V 561L、エクストレイル565L、フォレスター520L)。
具体的な荷室スペースは幅約1150~1345mm、後席使用時の奥行約1020mm、最低天井高約805mmと、フロア面積はステーションワゴンに匹敵。床下収納もあり、荷物の積載能力は抜群と言えるのだ。また、Tコネクトナビによるオペレーターサービス、SOSコールの”つながる”機能は、見知らぬ土地を走る際にも絶大なる安心感をもたらしてくれるだろう。
ソロキャンプ、あるいはカップルで、というなら、5ナンバーサイズのコンパクトSUVでも、たっぷりとした荷室を持つライズ、ロッキー兄弟がいい。
荷室は幅1000mm、後席使用時の奥行755mm、後席格納時の奥行1330mm、天井高865mm(最小740mm)と、5ナンバーサイズのクルマとは到底思えない369Lの容量で、なおかつ床下の買い物かご2個分の大容量アンダーラゲージを含めると、なんと449L(2WD)もの広大な荷室空間となる。
2段可変式のデッキボードの使いやすさもさることながら、デッキボードを外せば、観葉植物のような背の高い荷物にも対応してくれるのだから、万能だ。
2)荷室の防水仕様などアウトドア向けの機能
アウトドア、キャンプでは、荷物を積み込むスペースが汚れやすい。一度、1泊2日のキャンプで、帰り際、大雨にたたられた。当然、テントなどあらゆるものが濡れ、一部、ドロドロに。そんな時、安心なのが、荷室周りのワイパブル、撥水仕様だ。多くは樹脂素材になっていて、汚れに強いだけでなく、汚れをふき取るのも簡単だからうれしい。
そんなワイパブル仕様、撥水機能を備えた荷室を持つのが、SUVではエクストレイルなど、ミニバン派生の大容量プチバンのフリード+クロスター、シエンタFUNBASE、コンパクトクロスオーバーモデルのクロスビー、遊べる軽自動車のハスラー、6月発売予定のダイハツ版ハスラーと言えるタフトなどだ。
車種によっては荷室のフロアボードの表面がカーペット張り、裏面が樹脂素材と、リバーシブルになっていて、普段使いとキャンプやアウトドアで使い分けられるから超便利。クロスビーやセレナなどに汚れに強い撥水シート仕様が用意されている。
3)走破性
ほとんどのキャンプ場のキャンプエリア内は未舗装の場合が多い。また、湖畔や川辺などでは、ジャリ道など、悪路と言っていい道を進まなければならないケースもあるだろう。そんなシーンでのクルマ選びのポイントは、まずは4WDで、最低地上高に余裕があること(180~200mm)。
キャンプを始めたときにドライ路面だった周辺の未舗装路が、キャンプ中、大雨が降り、2WD車では走破しにくいドロドロの雲泥道になることだって、天気の変わりやすい山奥のキャンプ場ではあり得る話。
そんな悪路に強い、キャンプに向くクルマと言えば、筆頭はミニバンの皮をかぶったSUV、アウトランダーベースの3列シートSUVと言えるデリカD:5に尽きる。新型は全車、三菱自慢の本格な4WDロックモードさえ備える4WDとなり、最低地上高の余裕、ヒルスタートアシストの用意など、僻地のキャンプでさえ安心して連れて行ってくれる最強のミニバン、いやキャンプ向きのクルマなのである。
走破性という意味では、デリカD:5のベース車でもあるアウトランダー、それもキャンプにはPHEVもゴキゲンな1台となる。本格的な走破性に加え、車内外で家電品が使えるAC100V/1500Wコンセントが用意されているからだ。
同じくSUVでは、RAV4のアドベンチャーグレードも抜群と言っていい。ダイナミックトルクベクタリングコントロールによる走破性、操縦性はかなりハイレベルで、オンロードでの曲がりやすさにも驚かされるが、経験済みのダート、モーグル路での走行性能は驚愕レベルと言っていいほどだった。
一方、RAV4のHVモデルなら、AC100V/1500Wコンセントを装備することができるから、アウトドア、キャンプにはよりうってつけと言えるかもしれない。もちろん、エクストレイルも走破性の高さが自慢だし、軽自動車でもハスラーなら、キャンプに相応しい積載性と悪路走破性を兼ね備えている。
純正アクセサリーのアウトドア&キャンプ用品の充実度に注目
最後に、アウトドアやキャンプに向いているクルマを見極める、ひとつの方法を紹介したい。それは、車両本体ではなく、純正アクセサリーに注目すること。そのラインナップにアウトドア&キャンプ用品が充実していれば、ジャストサイズで、自動車メーカー純正ならではのクオリティーのアウトドア&キャンプ用品が手に入ると同時に、クルマのコンセプトがアウトドア&キャンプに向いていることが分かる。
ここで紹介したすべてのクルマには、アウトドア&キャンプ用品が充実している。というか、そんなクルマたちをピックアップしてきたというわけだ。
ちなみに、ないものねだりで、個人的に最強キャンプ向きグルマを想像すると、デリカD:5のPHEVだ。抜群の悪路走破性の高さ、室内、3列目席格納時の荷室空間の広さ、荷物の積載能力の高さに、アウトランダーPHEV 同様のモーター駆動による静かでスムーズな走行性能と、AC100V/1500Wコンセントが使える給電性能が加われば、世界最強のアウトドア&キャンプ向きの1台になるはずなのだが・・・・・・。
デリカD:5は2020年でデビュー13年。次期型があれば、ぜひアウトランダーの技術を生かしたPHEVモデルを加えてほしいと願っている。