積載性勝負!ロングキャビン仕様の荷台はどっちが積める?
標準ボディ仕様の荷台スペックは以下の通り。荷台高や荷台床面地上高に5~10ミリの差があるが、それで何か大きく変わるレベルではない。スズキ・ダイハツの両メーカーが積載量の目安として「りんごコンテナ48個」「みかんコンテナ54個」「20Lポリタンク40個」など例を挙げているが、その数も両車まったく同じ。
〈キャリイトラック(標準ボディ)の荷台寸法〉
◆荷台フロア長:2030ミリ
◆荷台長:1940ミリ
◆荷台幅:1410ミリ
◆荷台高:290ミリ
◆荷台床面地上高:650ミリ
〈ハイゼットトラック(標準ボディ)の荷台寸法〉
◆荷台フロア長:2030ミリ
◆荷台長:1940ミリ
◆荷台幅:1410ミリ
◆荷台高:285ミリ
◆荷台床面地上高:660ミリ
キャビンの広いスーパーキャリイはその分荷台が短い
本題はこちら、ロングキャビン仕様のスーパーキャリイとハイゼットジャンボの荷台だ。スペックは明確に異なる。
〈スーパーキャリイの荷台寸法〉
◆荷台フロア長:1975ミリ
◆荷台長:1480ミリ
◆荷台幅:1410ミリ
◆荷台高:290ミリ
◆荷台床面地上高:650ミリ
〈ハイゼットジャンボの荷台寸法〉
◆荷台フロア長:1990ミリ
◆荷台長:1650ミリ
◆荷台幅:1410ミリ
◆荷台高:285ミリ
◆荷台床面地上高:660ミリ
最も差が付いているのが荷台長。ハイゼットジャンボは標準ボディの1940ミリより290ミリ短い1650ミリだが、スーパーキャリイの荷台長はさらに170ミリ短い1480ミリ。何とも絶妙な差ではあるが、ジャンボならギリギリ許容範囲でも、スーパーキャリイはNGというユーザーも出てくるだろう。
ただし両車ともキャビン下をえぐって空間を設け、荷台フロア長を2000ミリ近く確保している。高さのある荷物は積めないが、脚立や道板といったある程度の長尺物は収納可能だ。ちなみにこのえぐり部分の高さもスーパーキャリイは230ミリ、ハイゼットジャンボが240ミリと、ジャンボの方がやや有利。
荷台より長い荷物を積む場合もスーパーキャリイは厳しい
もし荷台フロア長よりも長い荷物を積みたい場合は、荷台から後方にはみ出させるか、アングルポストに立て掛けることになる。
「前後へのはみ出しは全長の10パーセントまで=約34センチまでなら法規的にセーフです。アングルポストに立てる場合は全高が上がることになりますが、これも法規で地上から2.5メートルまでならOK。しかし荷台長が短いほど荷物が急角度になり、高さも伸びてしまうので、スーパーキャリイはやはり不利でしょう」と岩出さん。
〈積載性勝負 結論〉
標準ボディはまったく互角。ロングキャビンはジャンボ優勢
イジりやすさ勝負! カスタムベースに適しているのはどっち?
ラストはカスタムすることを前提にした「やりやすさ」について。ローダウンするにしてもリフトアップするにしても、まずは足まわりがスタートになりそうだが、サスペンションの構造自体はキャリイもハイゼットもほとんど一緒。特に下げにくい、上げにくいといったことはない。
キャリイはフロントタイヤハウスの狭さがネック
「問題はフロントのタイヤハウス。アーチの横幅を比べてみると、60ミリくらいキャリイの方が狭いのです。なのでリフトアップする場合、外径の大きなオフロードタイヤを履くと当たってしまったり、ローダウンした場合もハンドルを切ると干渉のリスクが高くなる。つまりカスタムしにくいということになります」と岩出さん。
そのタイヤハウスの狭さを分かりやすくするため、参考までにノーマル車高~リフトアップした場合の「履ける限界のタイヤサイズ」を比べてみるとこんな感じ(※あくまで物理的に「履ける」かどうか。保安基準等は考慮していないので注意)。
〈キャリイトラック〉
◆純正のタイヤサイズ:145R12(タイヤ外径542ミリ)
◆ノーマル車高:145R12(タイヤ外径542ミリ)
◆30ミリアップ:145R12(タイヤ外径542ミリ)
◆2インチ(約5センチ)アップ:145R13(タイヤ外径568ミリ)
◆4インチ(約10センチ)アップ:165/60R15(タイヤ外径579ミリ)
※バンプ時に干渉の可能性あり
〈ハイゼットトラック〉
◆純正のタイヤサイズ:145R12(タイヤ外径542ミリ)
◆ノーマル車高:145R13(タイヤ外径568ミリ)
◆30ミリアップ:165/60R15(タイヤ外径579ミリ)
※ハンドル全切り時に干渉の可能性あり
◆2インチ(約5センチ)アップ:165R14(タイヤ外径626ミリ)
◆4インチ(約10センチ)アップ:195R14(タイヤ外径675ミリ)
※フェンダーからはみ出しあり
ハイゼットなら30ミリアップのちょいアゲで履けるタイヤが、キャリイでは4インチ(約10センチ)アップしてやっと履けるかどうかなのだ。キャリイのタイヤハウスがいかに狭いか分かるだろう。
パーツはハイゼットが豊富だがキャリイも十分イジれる
このタイヤハウス問題の影響もあり、カスタム人口はハイゼットの方が多いのが現状だ。必然的に出回っているアフターパーツもハイゼットの方が多い。
「それでもスーパーキャリイが発売されてからは、キャリイ向けのパーツもかなり増えました。車高調やリフトアップスプリング&ブロック、エアロやバンパーガードなどの外装パーツ、チューニング関係、インテリア系まで、ひと通りカスタムには困らないでしょう。カーゴキャリアやロールバーといった荷台系のパーツも豊富です」。
タイヤについても、トーヨータイヤ・オープンカントリーR/Tやヨコハマ・ジオランダーM/T G003といったオフロード系タイヤが純正サイズで登場したり、ローダウン向けには165/40R15(タイヤ外径513ミリ)といったサイズも一部で出てきている。カスタムの幅は確実に広がってきているのだ。
「お客さんの中には『ハイゼットはみんな乗っているからキャリイがいい』という方もいる。無難にイジりやすいのはやっぱりハイゼットですが、個性を求める人はキャリイ系、特にスーパーキャリイを選んでみるのもアリだと思いますよ」。
〈イジりやすさ勝負 結論〉
アゲもサゲもハイゼット有利。だがキャリイも十分アリ
【取材協力】
但東自動車
◆兵庫県豊岡市但東町出合51
◆tel.0796-54-0206
◆https://www.tantojidosha.jp
◆営業時間:9時~18時
◆定休日:第2/4土曜・日・祝祭日軽トラのリフトアップを得意とする人気ショップ。店にはドレスアップやレジャー目的のユーザーだけでなく、「狩猟用や林業用に軽トラをイジりたい」という人も多く訪れる。代表の岩出さんはカイトサーフィンが趣味。