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1周走って「ブレーキが終了」もあり得る話!  サーキットをノーマル車で走る時の注意点とは

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

普段使いのクルマでサーキット走行に臨むには

 サーキットを走るには専用のチューニングが必須? そう思い込んでいる人も少なくはないけれども、速い遅いを別にすればノーマルでも走れるのだ。しかし注意すべき点はいくつかある。それらを知っておかないと、楽しいはずのサーキット走行で痛い目をみる可能性大!

 フルノーマルの車両でサーキットを走る機会は、実際のところほとんど皆無といっていいかもしれない。しかし頼んでいたパーツが間に合わなかったとか、まずはお試しの体験走行から始めてみたい場合もあるはずだ。そんな人のために注意すべきポイントを挙げていこう。

いちばん気をつけるのはブレーキ系

 もっとも危険に直結するのはブレーキだ。クルマの重さや走るサーキットにもよるが、パッドとフルードが純正のままで全開走行すれば、わずか1周すら保たない可能性がある。

 ソフトな踏力でクルマを止める一般道と異なり、強い踏力を使い短距離&短時間で減速するサーキットでは、ブレーキにかかる負担がケタ違いで、すぐに熱が上がってしまう。その結果ブレーキが効かなくなるフェードやベーパーロックを引き起こし、コースアウトやクラッシュに繋がってしまうのだ。

 足もとでいえばタイヤも同様だ。スポーツカーは別として一般的なクルマの純正タイヤは、サーキットのような過酷なステージを想定してはいない。アクセル/ブレーキ/コーナリングとタイヤにかかる力は街乗りの比ではないほど強く、異常な早さで磨耗したりブロックが千切れたりする。また空気圧も一般道よりだいぶ上がるので、メーカー指定の適正空気圧がベストとは限らない。

 もうひとつ要注意なのはオイルやクーラント。スポーツ走行を想定した製品は温度が上がりにくいだけではなく、オイルなら皮膜が強くエンジンにダメージを与えないとか、クーラントなら少しのスローダウンで冷えるといったメリットを持ってある。

 しかし純正はタイヤと同じく一部のスポーツカーを除き、サーキット走行のような高負荷を想定した製品ではないため、アッという間に温度が上がり仮に冷えたとしても元の性能には戻らない、という可能性は十分すぎるほど考えられるのだ。ましてサーキットのように高回転を維持し続ける状況なら、油温や水温は想像できない早さで上がってしまうことも覚えておこう。

普段とは違う状況をいつも以上に冷静に

 ではやむを得ずフルノーマルでサーキットを走るなら、どこに留意すればトラブルを回避できるのだろうか。個人的には『心のブレーキ』が最適解だと考えている。

 前のクルマを夢中になって追いかけた、タイムが遅いとカッコ悪い、お金がもったいないから時間いっぱい走る……。サーキットには冷静な判断を失わせる要素がたくさんだ。自分のクルマが「スポーツ走行に適さない状態」であることを忘れず、いつも以上にタイヤやブレーキからのインフォメーションに気を配りつつ、適度にスロー走行やピットインを織り交ぜて走るべし。

 キャパシティは車種によって異なるため、何周で必ず休憩しようと決め付けることはできないが、怪しいと感じたら走行を止める勇気も持つことが必要なのだ。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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