洗練された都会派スペシャリティカーのエチュード
1987年に登場したマツダ・エチュードも、知る人ぞ知る国産車のひとつだ。5代目ファミリア・BF型をベースにしたスペシャリティカーで、ターゲットはズバリ「クルマもファッションだと感じる時代を先取りする若い世代」。キャッチコピーも「アーバン・チューンド」として、「都会派」をアピールした。
クリーンなデザインが特徴のエチュードは、インテリアも、ダッシュボードの造形こそファミリアと同じながらも、素材を変更して上質感を演出。派手な高級ではない、シックなイメージでまとめられていた。装備面でも充実しており、全車パワステ・パワーウインドウが標準だった。今思うとエチュードは「プレミアム・コンパクト」を先取りしていたのだ。
上質な内装にファッショナブルな外観を持って生まれた、エチュード。クリス・レア「On The Beach」が流れるCMが印象深い。エンジンは当初1.6リッターDOHCのみで、1988年に1.5リッターOHCを追加している。国内では1世代限りの名前だが、南アフリカでは、ファミリアが一時期エチュードの名を引き継いでいた(!)。
しかしこのエチュード。コンセプトが難解だったのか、スタイリッシュさが足りなかったのか、マツダの思惑通りには売れなかった。廉価版の追加や明るいボディカラーを用意するなどテコ入れを行なったものの好転せず、1989年には早くも生産を終了。生産台数は約1万台と言われており、当時から希少車扱いだった。なお、直接的な後継モデルは「ファミリア・アスティナ」である。
なおエチュードの生産終了から15年後に登場した「ベリーサ」は、デミオベースの小さな高級車というコンセプトが市場に受け入れられ、11年間にわたり販売されたプチヒット作となった。ベース車も車格も異なるが、ベリーサに「エチュード再来」という想いを寄せた人も少なからずいたのではないかと思う。
ということで、クルマファンでも知らない!? 消えた国産車6選のうち、前半3車種をお送りした。後半でも、クルマファンでも知らない・忘れてしまっているようなクルマが続出する予定だ。どうぞお楽しみに。