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実車で速ければゲームでも速い! プロドライバーも参戦中の「eモータースポーツ」のリアル度がスゴイ

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TEXT: 佐藤知範  PHOTO: NGM社

レース中継感覚で盛り上がれるオンライン大会

 まず大会で使用されていた「グランツーリスモSPORT」のゲーム画面がリアルすぎて衝撃を受けた(筆者のレースゲーム歴はセガサターン版のセガラリー止まり)。既存プレイヤーからすれば「何を今さら」だろうが、しばらくゲームから遠ざかっていたような人間にとっては実写ムービーと見まごうばかり。

 そんなソフトの話はさておき、大会の様子だ。プレイヤーたちは各自WEBカメラで撮影されており、時折WEB会議っぽいマルチ画面でプレイしている姿が映し出される仕組み。レースに「誰がプレイしているか」が分かるようになっていた。

 また本大会は元レーシングドライバーによる非常に流暢な実況付き。解説役もプロドライバーとプロゲーマーが担当し、どの選手が現在どんな走りをしているのか、どんな状況なのかを、過去の実績なども踏まえながら詳細にリポート。単にプレイ画面だけを配信しているわけでないので、ビギナーでも分かりやすかった。まるでリアルのモーターレース中継を観ている感じだ。

 しかし、これが自分の知らないアクションゲームであれば「?」な場面も多かったに違いない。その点、レースゲームは「速い者が勝ち」なのである意味シンプル。プレイ側からするとゲーム独特のテクニックもいろいろあると思われるが、視聴側としてはその辺は知らなくても楽しめたし、実況・解説からのフォローも入るので、観ているうちに「スリップストリームが有効なのか~」など、いろいろ分かってきた。

 正直、選手たちの技術レベルの高さはよく分からなかったものの(上手いことだけは分かった)、それでもレース自体は実況や解説を含めて見応えがあった。オンライン大会と聞いてゲーム動画配信みたいな感じを想像していたが、いやはやきちんとしたコンテストでした。もし自分も同タイトルのプレイ経験があったり、ひいきのプレイヤーが参加していればもっと盛り上がれたに違いない。

 ラストには結果発表&表彰。入賞者のインタビューも流れた。視聴者のライブコメント欄には「おめでとう!」など祝福メッセージが多数寄せられ(レース中のコメントも興味深かった)、プレイヤーと視聴者の不思議な一体感を味わいながらコンテストは幕を降ろしたのだった。

コロナ禍を乗り越えて全国的な普及を目指す

 ということで、個人的には大いなる可能性を感じたeモータースポーツ初視聴だったが、北浦さんによると、このジャンルは「まだまだ黎明期」なのだそうだ。

 「他のeスポーツでは、世界の競技人口が何千万人~1億人に迫るジャンルもある。一方でeモータースポーツは、おおよその競技人口すらデータが出ていない。まだそれくらい少ないんです。それに高額賞金が用意される大会もほとんど開催されていません」。

 そもそも日本ではeスポーツ自体、海外に比べて大きく遅れている。ゲームに対する偏見・使用するソフト/ハードの違い・賞金に関連する法規の解釈・スポンサーの少なさ…etc。本筋から外れるため詳細は割愛するが、クリアすべきこともいろいろあるのだという。

 「とにかく今は、まず知ってもらうのが大事。幸いなことに、eスポーツに興味を持ってくれる企業も増えてきました。町おこし・地方活性化に活用したいという声も出てきています。私たちはそこに大会やイベント運営のノウハウを惜しみなく提供し、日本全国にeスポーツ/eモータースポーツの魅力を広めていきたいと考えています」。

 そんなプロジェクトの目玉として、昨年9月にプレ大会を実施したのが「JeGT GRAND PRIX」。今年1月には東京オートサロン会場でエキシビション的な「JeGT GRAND PRIX ROUND EXTRA @AUTOSALON TECH」を成功させ、4月にはカー用品販売店大手のオートバックスセブンがメインスポンサーに付いた。ここから満を持して本格的なシリーズ戦がスタート…するはずだったのだが、新型コロナウィルスのため、会場での開催はひとまず延期になってしまったという。

 「残念ですがこればかりは仕方ない。しかしeモータースポーツはオンラインで開催可能という強みもありますし、前にもお伝えしたようにリアルと操作性が近いので、プロドライバーの方にも参戦を促しやすい。この業界に携わる者として、今できることも多いと思います。コロナ禍に負けず精力的に活動していきたいですね」。

 もっとeモータースポーツの認知が広まれば、より多くのスポンサーが見込める。自動車関連に止まらず、幅広い企業が興味を示せば賞金額だって上がってくるだろう。実車レースとeモータースポーツの両方で活躍するドライバーも増えるに違いない。そして裾野である競技人口も増えるだろう。

 リアルのレース車両に乗るのは無理でも、バーチャルのレース車両なら低コスト&低リスクで操れる。しかも腕を磨いていけば大会出場やトッププレイヤーとのバトル、賞金獲得の可能性だってあるのだ。何事も夢や目標があった方が楽しい。ゲーマーやクルマ好きにとって、eモータースポーツはそうした存在になりつつある。

 最新情報。8月2日(日)にエキシビション大会の開催が決定。詳細に関しては最終調整中との事なので、詳しくはホームページで確認して欲しい。

(C)2017 Sony Interactive Entertainment Inc. Developed by Polyphony Digital Inc.
“Gran Turismo” logos are registered trademarks or trademarks of Sony Interactive Entertainment Inc.

 

【取材協力】
NGM株式会社
https://n-g-m.com
https://www.jegt.jp(JeGT GRAND PRIX)

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