あると役立つDIYメンテに最適なケミカルたち
クルマのメンテナンスに関して上手か下手か分かれるポイントのひとつが、ケミカルをどう使いこなすかだ。高性能なものを選ぶだけでなく、適材適所いろいろと使い分けるのもポイントとなる。
クルマのケミカルというと、一般的にはスプレー式の潤滑剤ぐらいしか思い浮かばないかもしれないが、じつはけっこうあるのだ。今回は現代のクルマにもフィードバックできる、整備的にシビアな旧車で定評のあるケミカルを紹介しよう。
【1_高性能潤滑スプレー】
一般的に潤滑スプレーは基本中の基本として旧車乗りなら常備すべき物。さらに高いレベルの潤滑が必要なときに使える、高性能潤滑剤は頼もしい存在だ。
いわゆるプレミアムな性能で価格も高いが、摩耗を防ぐだけでなく、長期間効果を持続してくれたりもする。ただしクルマの箇所によっては使用NGな潤滑剤があったりするので、注意しながら使いたい。
【2_各種グリース】
グリースがあると、例えばドア可動部のきしみ音を消したりするのに便利。一般に持っている人が多いのは飴色の「万能グリース」と呼ばれるものだろうが、じつは用途や使用場所、性能によって細かく分かれていて、できるだけ使い分けるようにすると潤滑を高めてくれるだけでなく、ゴムの腐食などのトラブルも防止してくれる。
モリブデン、カッパー(銅)、シリコン、テフロンと、ざっと挙げただけでもこれぐらいあるが、なかでもシリコンは価格は高めながら、高圧&高温にも耐え、樹脂やゴムにも優しいので常備がオススメ。
【3_接点復活剤】
旧車のみならず、最近のクルマでも後付けアクセサリーなどで問題になるのが接触不良。端子部分の汚れなどが原因の場合も多く、これを落としてくれるのが、接点復活剤と呼ばれるケミカル。汚れを落とすだけでなく、端子の表面も保護してくれる。
ドライとウエットがあって、端子のタイプによって使い分けられるとなお良し。グリースのところで紹介したカッパーグリースをキレイにした接点に塗っておくのも、保護と導通性向上に効果あり。
【4_ブレーキ&パーツクリーナー】
これも整備用ケミカルの基本中の基本ともいえるアイテム。パーツクリーナーとも呼ばれる(成分が少し違う場合もあり)だけに、ブレーキを整備しなくても1本あると、油汚れ落としを中心にいろいろと使える。
使い方は汚れを落としたい部分にスプレーするだけ。最近は長いジャンボ缶も数百円で売られているので、常備しておくといいだろう。厳密に言うと速乾タイプと遅乾タイプがあるが、どちらでも問題はない。
【5_液体パッキン】
塗って乾燥させることで、オイルや冷却水、排気漏れを止められるのが液体パッキン。ガスケットが製造中止で、自作する場合にも薄く塗ると安心感が増すなど、あると便利だ。ただし用途ごとに合ったものを使う必要があり、凝りだすと大変なことになるのでオイル用がひとつあればいいだろう。
現在のクルマでは頻繁に使用することはないにしても、万が一のときに役立つ。ただ、使い出すとクセになって多用しがちで、異物になったり、漏れがひどくなったりする可能があるので要注意だ。
【6_リングイーズ】
ここまではケミカルのジャンルを紹介したが、最後は固有の商品となる。なぜなら同様の効果を持ったものは恐らくこれしかないから。往年のレースファンには懐かしい「バーダル」というブランドから売られている「リングイーズ」は、その名のとおりピストン、そしてピストンリングまわりの汚れまでも強力に落としてくれるエンジンオイル添加剤。
旧車業界では、煙を吐いていてオーバーホールが必要と思われるエンジンにダメ元で添加してみることも多く、スラッジなどの汚れが原因でシリンダーの気密性が落ちている場合は、使用後しばらく走っているうちに直ることもあるほど。最近のクルマにフラッシング目的で使っても問題はない。