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乗り降りがしんどければ迷わず選択! 高齢者の腰&膝に優しい「回転式シート」の便利さが衝撃的

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TEXT: 諸星陽一  PHOTO: トヨタ、マツダ、スズキ、ダイハツ、スバル、三菱、Auto Messe Web編集部

足腰が悪くても乗り降りしやすい福祉車両

 高齢者を助手席や後席に乗せた経験のある方は、けっこう時間がかかるものだということを認識していることでしょう。高齢者はクルマに乗るという、なんてことのない行為がけっこう大変だったりします。

 よく高齢者が椅子に座るときに「よっこいしょ」と声を掛けることがあります。立ち上がるときではなく、座るときです。若く、健常な人は座ることなんてどうってことないと思いがちですが、じつは高齢者にとっては座るという行為もそれなりに大変なのです。

 座るためには腰を下げていくので、ヒザが曲がった中腰の姿勢で体重を支えなくてはなりません。ちょうどスクワットの途中の状態だということを想像すれば、簡単に想像できることでしょう。通常、クルマに乗り込む際は、まず車内に足を入れ込んでそれから腰を下ろしていきます。この状態は身体を斜めにしてヒザを曲げていくことになります。実際にクルマに乗り込むというのは、じつはそんなに簡単なことではないのです。

 高齢者がクルマに乗るときに楽なプロセスは、まずシートクッションに腰を下ろしてしまうことです。そうしてから足を車内に入れ込めば、斜めになった状態で膝を曲げるといったようなことがなくなります。しかし、シートクッションがドア開口部ギリギリまで迫っていれば先に腰を下ろすのも簡単なのですが、最近のクルマは側方衝突の安全性を確保するためにシートが奥まっているものも多くなっています。

 つまり、ノーマルのクルマで先に腰を下ろそうとすると、車内にお尻を入れ込むようにしなくてはならなく、そこでも無理が生じます。

 それを解消するために用意されているのが乗り降りを楽にするための回転シートなどの機構です。回転シートなどに含まれる、乗り降りを楽にする機構は次のタイプがあります。数字が大きいほど、機構が複雑になります。

1.助手席回転シート

 その名のとおり、助手席が回転するものです。助手席がぐるっと回転して横向きになり、乗り降りを補助します。ぐるっと回るのですが、直角まで回ることはあまりありません。ドアの開口角度と合わせてどれくらいの余裕があるかをチェックすることが大切です。トヨタ・アクア、日産ノート、ホンダ・フィット、ホンダNワゴン、ホンダ・グレイス、マツダ2、ダイハツ・タント、スバル・インプレッサなどがあります。

2.助手席(セカンドシート)回転スライドシート

画像はカローラアクシオに設定された回転スライドシート

 助手席やセカンドシートなどが回転したあとにスライドしてせり出すタイプのものです。回転するだけのタイプに比べて乗りやすさが向上します。トヨタ・プレミオ&アリオンなどがあります。

3.助手席(セカンドシート)回転チルトシート

 助手席やセカンドシートが回転した後にシートの後ろ側が持ち上がる(チルトする)ことによって乗りやすさをアップしたものです。身体をあずけるようにして乗るため、回転スライドシートとは違うタイプの乗りやすさがあります。チルト付きはトヨタ独自の機構で、プリウス、プリウスPHV、ポルテ、スペイド、シエンタなどに用意されます。

4.助手席(セカンドシート)リフトアップシート

 1〜3までのタイプは乗車時と乗り込み時のシートの高さがほぼ一緒ですが、この4.助手席(セカンドシート)リフトアップシートはシートが下方向に移動しながらせり出すため、乗り込み時のシート高さが低くなります(途中で操作を停止すれば、任意の高さで使える)。

 このシートが低くなるのは車いすからの移乗を考慮したもので、立った状態から乗る場合はシート高はめのほうが乗りやすくなります。正し、ミニバンなど元々のシート高が高いものは、こうしたリフトアップシートのほうが乗りやすいことも多くなっています。

 リフトアップタイプは装備する車種が多く、トヨタではタンク、ルーミー、スペイド、ポルテ、プリウスα、ヴォクシー、ノア、アルファード、ヴェルファイアなどに用意されます。ヴォクシー、ノア、アルファード、ヴェルファイアはリフトアップ機構にチルト機構もプラスされています。

 日産ではノート、ルークス、エルグランド、セレナ、エクストレイルに用意。ホンダではフリード、ステップワゴン、オデッセイに用意。ダイハツがタント、ムーヴ、アトレーに用意。スバルがレヴォーグ、レガシィアウトバック&B4、インプレッサスポーツ&G4、XV、シフォン、ステラに用意。そのほか、三菱デリカD:4、スズキ・ワゴンR&ワゴンRスティングレー、マツダCX-5にも用意されます。

 1~3については、車いすを収納するための装置(リフトなど)と固定装置が装備されると福祉車両としての要件を満たし消費税が非課税になります。4については車いすの固定装置を装備するだけで要件を満たすので消費税が非課税となります。

※設定車種は執筆時のものです。設定があるか否かは各メーカーのお客様相談センターなどにお問い合わせ下さい。

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