タイヤが薄く見えると性能はいいのか
ホイールのインチアップブームがまたやってきているようです。クルマのホイールを大径のものに履き替えるインチアップは、その昔13インチが主流だったころ、16インチはあこがれのホイールサイズでした。16インチが解禁になると18インチ、19インチと大きなホイールが望まれるようになり、今や20インチは当たり前。タイヤによっては22インチ、23インチなんていう足まわりのクルマもあります。
インチアップしてタイヤが薄くなると見た目カッコいいし、高性能な感じもする。実際に愛車をインチアップすると、ハンドルを切ると応答がシャープになって、いかにも性能がよさそうな気がしますよね。
……本当でしょうか?
F1は速いのに13インチのホイール
例えばF1は13インチのホイールを履いています。インチアップしたほうが高性能なのであれば、F1も18インチ、20インチになっているのではないでしょうか。もしかしたら13インチとか14インチといった小径ホイールのほうが性能がいい? いやいや、だったら14インチの軽自動車はもっと高性能なはずだし、軽トラや軽バンは今でも12インチが主流なので、そちらの方がもっと高性能ってことになりますよね。
乗用車とフォーミュラカーを同じ土俵で比べようとすると、こんな具合に訳がわからなくなってしまいます。
それから。F1のタイヤがぶ厚いといわれていますが、実はそうでもないんです。F1のタイヤは外径が670ミリで、タイヤ幅は前輪が305ミリ、後輪は405ミリと決められています。13インチのホイールを履いていますから、これをミリ換算にすると330ミリ。偏平率は前輪が54%、後輪が41%になり、案外低偏平なことが分かります。偏平率はタイヤ幅に対するサイドウオールの高さの割合なので、タイヤ幅が広いと、サイドウオールもぶ厚く見えるわけです。
ちなみに、2021年からはいよいよF1も18インチが導入されるそうです。タイヤ外径690ミリで、幅は前輪が270ミリ、後輪が405ミリとなるので、偏平率は前輪が43%、後輪が29%ほどになります。
じつはこのインチアップ化によってラップタイムが平均3秒遅くなるといわれているんです。え、インチアップすると遅くなるの?