ズレたままだとタイヤやハンドリングが悪化
クルマ好きなら一度は「ホイール・アライメント」という言葉を聞いたことがあるだろう。アライメント(=整列の意味)が示すとおり、ホイールの整列を示す言葉で、車体に対してホイールが取り付けられている角度や位置関係を表している言葉だ。
具体的にはキャンバー角、トー角、キャスター角といったホイールのさまざまな角度があり、それらが適正な角度に設定されていることがクルマの性能に直結するので重視されている。では、アライメントが適正値からズレると、どのようなことが起きてしまうのだろう?
さまざまなケースがあるが、例えば走行中にハンドルがぶれる、真っ直ぐ走らない、コーナリングで曲がりにくい、タイヤが偏摩耗する、燃費が悪いなど、さまざまな悪影響が出てくるので要注意だ。
そんなホイール・アライメントはどのようなタイミングで調整すると良いのだろう。もっともポピュラーなのは足まわりを変更した時点だ。車高調などを取り付けたりロワードを施すと純正状態からアライメントがズレる。その結果、上記のような不具合が生じてしまうのだ。そこで交換した足まわりに合わせて、アライメント調整が必要になるのだ。
足まわりの変更の他にも、縁石へのヒットや事故によって足まわりに強い衝撃を受けた場合にもアライメント調整を実施しておきたい。また長年アライメント調整を行っておらず、タイヤの偏摩耗や直進安定性やコーナリング性能が気になる場合にもアライメントのズレを疑ってみても良いだろう。概ね3~5年の間隔で測定しておけば、大きな問題が起きることはないだろう。
調整をすることでクルマの操縦性をアップさせる
アライメント調整は大きく分けて測定と調整にわけられる。前段階としてアライメントテスターを使って測定して純正値に対してどの程度のズレがあるのかをチェックする。許容範囲であれば調整の必要は無いが、大きくズレている場合には足まわりの調整を実施する。フロントのキャンバー角、トー角、キャスター角、リアのトー角、キャンバー角などがその対象となる。
カスタム車両ではよく知られているのがキャンバー角だろう。ネガティブキャンバーと呼ばれるのはタイヤの下方が外側に開くハの字に形状の角度のこと。ストラットの場合はアッパーマウントの調整機構を使って角度を調節することになる。ズレたままだとタイヤの偏摩耗やハンドリングの悪化などにつながる。
対してキャスター角はあまり意識することも無いだろう。調整機能は特にないがキャンバー角を変更するとキャスター角もわずか変化するので合わせて最適値を見つけ出す調整が実施されることになる。ズレると直進安定性の悪化などが見られる。
アライメント調整の中でももっとも重視されているトー角は進行方向に向かってタイヤが閉じている(トーイン)、開いてる(トーアウト)状態を示している。タイヤの偏摩耗や直進安定性に大きく関わるのでかなり重要な角度だ。一般的にはもっとも抵抗のない0度近くで設定するか直進安定性を考えてわずかにトーインするのがセオリー。直進安定性の他、ハンドリングのシャープさにも影響する。
タイロッドを使って比較的簡単に調整可能だが、かなりシビアな調整が求められるので要注意の項目だ。 足まわりの変更を行った場合には必ず実施したいアライメント調整。クルマの操縦性をアップさせドライブがぐっと楽しくなり、またタイヤの偏摩耗を防ぎ燃費もアップする場合もあるなどエコにも役立つ。これまで調整したことが無いというユーザーがいたら、今すぐ実践して愛車の走りを蘇らせよう。