海外製もあるとは知らなかった!? 人生を豊かにする移動の自由を入手
身体に障がいがある人にとって、移動手段の選択肢を増やすもののひとつに、クルマの運転補助装置がある。これは、例を挙げると、足の不自由な方(下肢障害)でも、手でアクセルやブレーキを操作し、自分の意志でクルマを運転して移動できるようになる装置のこと。今回はその運転補助装置についてどんな種類があるのか、また費用や購入、車両への取り付けに関することなどを紹介していく。
運転補助装置が装着された車両も福祉車両のひとつ
各自動車メーカーにはトヨタのウェルキャブ、ダイハツのフレンドシップシリーズなど、車いすのまま乗り降りができるような福祉車両が用意されている。またホンダには「テックマチックシステム」といって、その一例だが左手だけでアクセルやブレーキ操作が可能となる補助装置も用意されており、それらを取り付けた車両も福祉車両と呼ばれている。
このように福祉車両と言ってもさまざまな種類があるが、大きくは「介護式」「自操式」の2つに分かれる。「介護式」福祉車両とは車いすの方の介護や送迎に利用するクルマ。一方の「自操式」福祉車両とは先述した「テックマチックシステム」のような、自分で運転するための補助装置がついたクルマである、と日本自動車工業会(JAMA)では定義されている。
このように今回のテーマとなる運転補助装置装着車両とは、福祉車両のうちの「自操式」福祉車両に分類されることが分かったが、その運転補助装置についてさらに詳しく見ていこう。
運転補助装置取り扱いメーカー(自動車メーカー系)
自動車メーカー系の手動運転補助装置では、先に一例として挙げたホンダ(ホンダアクセス)のテックマチックシステムがある(https://www.honda.co.jp/welfare/purpose/for-drive/)。そのなかで両足の不自由な方用の装置がDタイプ。左手だけでアクセルやブレーキが操作(ハンドルは右手)できるコントロールグリップという装置を追加装着し、レバー(グリップ)を手前に引くとアクセル、前へ押すとブレーキが作動するというもの。
コントロールグリップにはハザード、ウインカー、ライト、ホーンなど頻繁に使うスイッチ類を集中配置。シンプルな操作で安定した姿勢を維持できるのが特徴だ。ホンダがホンダ車用に開発しているので、信頼性はまさに申し分なし。
ホンダのテックマチックシステムは全国にあるすべてのHonda Carsで購入することが可能。Dタイプと呼ばれている手動運転補助装置の価格は税込みで27万5000円。これには取付工賃が別途必要となり、詳細は販売会社に問い合わせて欲しいとしている。
運転補助装置取り扱いメーカー(専門メーカー系)
自動車メーカー系ではホンダの例を挙げたが、日本製や海外製の手動運転補助装置が各専門メーカーからも販売されている。これらの一部は各自動車メーカーとも提携を結んでいて、新車購入時にも合わせて装着することができるし、すでに愛用している車両にあとから取り付けることもできる。
国内メーカーではフジオート社、ミクニライフ&オート社(旧ニッシン)、海外メーカーではグイドシンプレックス社などがよく知られている。ちなみに、グイドシンプレックス社とは、イタリアで50年以上の歴史がある、世界的に見ても手動運転補助装置のトップメーカーと言われているようだ(http://guidosimplex.gst.jp/)。
その手動運転補助装置だが、機械式と電気信号式の種類がある。機械式は比較的ローコストで可動式のロッドやアームを組み合わせ直接ペダルを操作するもの。取り付け&取り外しが簡単にできて、レンタカーにも装着できたり、健常者や家族ともクルマを共有できるのも利点。
機械式でもっともコストが抑えられているのが、ニコ・ドライブ社のハンドコントロールという日本製の手動運転装置で価格は税別10万円。本体重量も約900gと軽く持ち運びも可能。取り付けに関しても特別な工具も不要で、すぐその場で装着できるようになっている(https://nikodrive.jp/)。
電気信号式は機械式よりもコストはかかるが、手動レバーを押したり引いたりする電気信号でペダルを操作するためロッドやアームがなく足もとが広く使え、レバー操作も軽くできることなどがメリット。従って、使用者に対する制限が少ないことも特徴。
だが、車種専用になることが多く汎用性が低いため、脱着には向いておらず、クルマを乗り換えるときにはあらためて装置を作り替える必要も出てくるという。
また、主にグイドシンプレックス社などの海外製では、レバーではなくリングタイプ(ハンドルに沿ってアクセルリングを装着)と呼ばれるものもあり、両手でハンドルを操作しながら指先でアクセルのオン/オフといったコントロールができることが最大の特徴になっているようだ。