忘れ去られたマイナー4WD トヨタブリザード
この記事の最後は、無骨な4輪駆動車で飾ろう。その名は「トヨタ ブリザード」。これも初めて聞くか、すっかり忘れられている車名ではないだろうか。ブリザードはダイハツのOEM車だったので尚更だろう。
ところで、ダイハツが6月に発売を予定している新しい軽SUV「タフト」は、「ロッキー」に次ぐ懐かしい車名復活ということもあり話題になっている。元々のタフト、ロッキー、タフトを改名した「ラガー」は、いずれもコンパクトながらラダーフレームを持つ本格的4WDだった。
その第一陣が1974年に登場したタフトで、前後リジッドアクスルをリーフサスで吊るハードなRVだった。初代ブリザードはこのタフトにトヨタバッジをつけたクルマで、1980年からカタログに加わっている。出来たばかりのビスタ店専売車種でもあった。ミニ・ランクル40系のようなスタイルは「ランクルの弟分」というイメージ作りにもぴったりだった。
当時の国産RVは下がスズキ ジムニーで上が三菱 ジープ、日産 パトロール、ランドクルーザーという展開で、クラス差が大きかった。そこでダイハツが投入した1リッタークラスの4WDがタフトだった。1980年時点のタフトには、1.6リッタートヨタ製ガソリンと2.5リッターダイハツ製ディーゼルエンジンが積まれたが、ブリザードではエンジンがトヨタ製2.2リッターディーゼルのみという違いがあった。
1984年、ダイハツはタフトをフルモデルチェンジ。「三菱 パジェロ」のように装備を増やし乗り心地も改善するなど、街乗りでの快適性を大幅に高め、車名も「ラガー」に改名した。本格的なクロスカントリーモデルなのは不変でタフト同様にホロとハードトップが用意されたが、ホイールベースを伸ばした「レジントップ」が新たに加わっている。
一方のブリザードはベースモデルが新型に切り替わったため、2代目はそのままラガーのOEM車となった。ボディバリエーションはラガーに順じた3種で、のちに常用登録の「ワゴン」を追加。その後も内外装の変更、グレード追加を行いつつ、1997年まで販売された。
写真は2代目ブリザードの「ハードトップLX」。全長はパジェロのショートより約28cmも短い。エンジンはトヨタ製2.8リッターディーゼルのみでスタートしたが、のちにターボディーゼルも搭載されるようになった。
「消えた」クルマは他にもいっぱい
現在では車種が増えるよりむしろ、削減されるばかり。日産ではマーチからサニーやラティオのクラスをノート1車種でカバーするようになった。セダンでは、サニーに相当したラティオも今はなく、ブルーバードの後を担う「シルフィ」、ローレルクラスの「ティアナ」と「スカイライン」のみだ。かつてのように間を縫って細かく車種を増やしていた時代が嘘のようである。
国産車には消えたクルマ、今回のような「ファンも忘れちゃったようなクルマ」は他にもまだまだたくさんある。また機会を得て、改めて記事にしたいと思う。