配光技術が向上したこともあり樹脂レンズの採用が可能になった
ただ、成形が容易になったから採用が進んだのかと言うと、配光技術が向上したというのが先にあって、それを踏まえて樹脂レンズの採用が可能になったというのが正確だろう。ガラス製のレンズの表面を見てみると、配光のために凹凸が付けられている。こうしておけばバルブからの光りが通過すれば配光されるので、コントロールするのは簡単だ。
一方、樹脂の場合はレンズ表面はツルツルなので配光には関係なく、ただ光りは通過するだけ。配光は内部のリフレクターによって行なうため、制御はけっこう難しかった。もちろん今ではシミュレーション技術が向上しているので問題はないが、「昔は無理だった」と言い切る開発者もいるほどだ。
ちなみに樹脂レンズの特徴である多面カットされたリフレクターはキラキラと輝くので、デザイン的なアイコンにもなるので、メリットは多い。
デメリットはお馴染みの樹脂レンズの劣化だろうが、ガラス製も内部の腐食や飛び石による破損、ハイワッテージバルブを入れて夕立に遭うと急に冷やされて割れることもあった。細かい部分ではどちらにもそれぞれ遜色はあると言っていい。
ちなみに旧車にレンズに凹凸がなくてツルツルした、リフレクタータイプのヘッドライトを付けてみると、なんとも物足りない感じになる。逆もしかり。やはり、全体的なデザインの流れがあってこそのレンズの素材だろう。