救急車が到着するまでの処置が生死を分ける
そもそも応急手当が重要なのは、事故や病気などで傷病者がいる場合、救急車が到着するまでの間の応急処置が傷病者の命を左右することがあるからだ。東京都内では救急車の到着までの平均時間は7~8分と言われている。
救命曲線と呼ばれる心臓と呼吸が止まってから命が助かるまでの時間を表す曲線では、時間経過とともに命が助かる可能性が低下していくことが知られている(心臓や呼吸が止まった人の命が助かる可能性は、その後の約10分間に急激に少なくなっていく)。そのため、救急車が到着するまでの数分間の間に行なわれる応急手当が非常に大切なのだ。
心肺停止や窒息など生命の危機に陥った傷病者を救命する際には
(1)心停止の予防
(2)早い119番通報
(3)早い心肺蘇生とAED(一次救命処置)
(4)救急隊や病院での処置(二次救命処置)
この4つが連続して行なわれることが重要と言われている。なかでも(3)は救急車が到着するまでの間、一般市民が担うことになり、処置の適切さによって傷病者の命を救える可能性が大きく左右されることになるというのだ。
そこで、この講習では「倒れている人がいたら」「出血している人がいたら」「ケガをしている人がいたら」「溺れている人がいたら」といったケース別の対処法や、止血や気道異物除去の方法、さらにはAEDの使い方などを学ぶことになる。
それぞれの状況に応じた状況判断、さらにはその上で可能な応急手当の具体的な方法などを学び、現場に居合わせても慌てること無く応急手当ができるようにことを目指している。
地域によっては救急車のスピーディな到着が期待できない場合もあるだろう。そんな時にはより一層、応急手当の重要性が増すと言えるだろう。また震災や風水害などの大規模な災害時には救援状況も逼迫することも考えられる。これらの状況でも自らが応急手当を行なうことで救える命があるかも知れない。
万が一の時に自然と行動がとれるよう、講習を受けて的確な応急手当の知識を身につけておきたい。自分の家族を守るためにも。