救命救急の基礎知識を習得しよう
自分の家族を含め、街中や路上で急病人やけが人が出て応急手当が必要になるケースは、滅多に出くわすものではないかもしれない。けれど、もしその場に居合わせたとしたら、何かできるだろうか?
そのような時に適切な処置を施すことは知識が無ければ難しく、ただ状況を見守るだけ、できることと言えば救急車を呼ぶこと程度だろう。しかし、救命救急の基礎的な知識があれば命を救うことができるかもしれない。
そこで今回は万が一の事態に直面しても慌てず行動できるように、応急手当の基礎知識を学べる講習会について紹介したい。
全国各地で講習会が開催されている
全国でそのような講習会は開催されているが、代表例として東京都では東京防災救急協会が主催する「応急手当講習会」というものがある。各地の消防署などを会場にして定期的に開催されているので、場所や実施日についてはウェブサイトを確認してほしい。
この講習では応急手当に関する基礎知識を学ぶことができ、受講して応急手当に関する技能が一定のレベルに達したと認定されると技能認定証(講習受講日から3年間有効)が交付される。
一般の方が受講できる「救急手当コース」では、「普通救命講習(4時間)」と「上級救命講習(8時間)」の2つに分かれており、普通救命講習であれば1500円(教材費・消費税込み)で受講できるので、まずはこちらから受講してみると良いだろう。
救急車が到着するまでの処置が生死を分ける
そもそも応急手当が重要なのは、事故や病気などで傷病者がいる場合、救急車が到着するまでの間の応急処置が傷病者の命を左右することがあるからだ。東京都内では救急車の到着までの平均時間は7~8分と言われている。
救命曲線と呼ばれる心臓と呼吸が止まってから命が助かるまでの時間を表す曲線では、時間経過とともに命が助かる可能性が低下していくことが知られている(心臓や呼吸が止まった人の命が助かる可能性は、その後の約10分間に急激に少なくなっていく)。そのため、救急車が到着するまでの数分間の間に行なわれる応急手当が非常に大切なのだ。
心肺停止や窒息など生命の危機に陥った傷病者を救命する際には
(1)心停止の予防
(2)早い119番通報
(3)早い心肺蘇生とAED(一次救命処置)
(4)救急隊や病院での処置(二次救命処置)
この4つが連続して行なわれることが重要と言われている。なかでも(3)は救急車が到着するまでの間、一般市民が担うことになり、処置の適切さによって傷病者の命を救える可能性が大きく左右されることになるというのだ。
そこで、この講習では「倒れている人がいたら」「出血している人がいたら」「ケガをしている人がいたら」「溺れている人がいたら」といったケース別の対処法や、止血や気道異物除去の方法、さらにはAEDの使い方などを学ぶことになる。
それぞれの状況に応じた状況判断、さらにはその上で可能な応急手当の具体的な方法などを学び、現場に居合わせても慌てること無く応急手当ができるようにことを目指している。
地域によっては救急車のスピーディな到着が期待できない場合もあるだろう。そんな時にはより一層、応急手当の重要性が増すと言えるだろう。また震災や風水害などの大規模な災害時には救援状況も逼迫することも考えられる。これらの状況でも自らが応急手当を行なうことで救える命があるかも知れない。
万が一の時に自然と行動がとれるよう、講習を受けて的確な応急手当の知識を身につけておきたい。自分の家族を守るためにも。