職人技が求められる場合もある
愛車のDIYドレスアップで、もっとも難易度の高いメニューがエアロパーツの装着といえる。今や製品精度も高くなり、塗装済みパーツも多くなったので、ある程度の技量があればDIY装着できるのは事実だ。しかし、予想外のトラブルが発生した際、そこを切り抜けられる技能こそプロの技! そのスキルを持たない一般ユーザーの失敗例を参考にしながら、エアロパーツのDIY装着における注意点をチェックしていこう。
1)荷受けができない/運べない
エアロパーツのメインといえば、フロントバンパー/サイドステップ/リヤバンパーの3点セットが基本。ボリュームの少ないハーフタイプでもサイドステップの全長は長く、一般的な宅配業者は取り扱ってくれない。荷受けはショップに限定されるか、個人宛てでも営業所止めにて引き取る手間が発生する。小ぶりな部分エアロならまだしも、大型パーツの場合は配送の可否から確認しておこう。
2)加工&修正が必要になる
ハッキリ言って、エアロパーツの品質にはブランドによって差がある。人気の高い有名ブランドには価格に見合った相応の品質が担保されているが、そうでないブランドはネットの口コミを参考にしないと、品質に対する心配は拭えない。これはナニを意味するのかというと、無加工で装着できるか否かの問題なのだ。
わずかでも合わない部分があれば加工が必要となり、それは板金塗装の領域となる。追加料金を払って塗装済みエアロを買ったのに、実際にはピッタリ装着できないというのは最悪のケース! 本来なら塗装前のエアロを仮合わせし、フィッティングの確認&修正加工を実施。
その後に塗装して装着というのが正しい施工の流れとなる。粗悪品を買ってしまった場合はプロでも泣きたくなるほど修正が必要なエアロもあるので、DIY装着する場合は修正加工のリスクを必ず考えておこう。
3)塗装の失敗
エアロパーツというは、塗装済み製品を購入しない限りは、FRP製なら白か黒のゲルコートされたものが送られてくる。さすがに大型バンパーを自分で塗ろうという人は少ないと思うが、小さなスポイラーやガーニッシュならDIYで塗装して装着しようという人もいることだろう。
このDIY塗装でありがちな失敗というのが『色合わせ』だ。カー用品店に行けば同じボディカラーのスプレーが手に入るのだが、経年劣化で色あせしたボディとは微妙に色合いがズレてしまうケースがある。また、たとえ色が合っていたり別の色に塗り分けして一旦は満足しても、缶スプレーのアクリル塗料はボディの純正塗装よりも早く経年劣化してしまう。
最後に2液式のウレタンクリアをスプレーするなど、耐久性に配慮した仕上げを行うことが大切なのだ。
4)取り付けの不備
簡単なエアロパーツなら、両面テープで貼るだけというお手軽な製品もある。しかし、その文句を鵜呑みにすると、走行中に脱落して紛失したり事故の原因になったりするので注意が必要だ。両面テープの接着面は清掃&脱脂してから貼るのは常識だが、場合によってはコーティング皮膜をコンパウンドで削る必要もある。
また、クルマは振動が大きいのでボルトやクリップが緩むことも考慮しておこう。両面テープを併用してガタつきを抑えたり、エアロとボディの接触面にゴム製モールを仕込んでキズを防止するなど、取り付けの信頼度を確保するのはプロの領域と言っても過言ではない。特にフロント/サイド/リヤの3点セットといった大型エアロは重量や空気抵抗も大きいので、プロに任せるのが無難な選択といえる。
5)装着に失敗して破損
エアロパーツを装着する際、いろんなパーツの脱着作業が発生する。たとえばフロントバンパーを交換するなら、バンパー本体以外にアンダーカバーやタイヤハウスのインナー、フロントグリル、純正フォグランプの配線など、関連部分の作業が山ほどあるのだ。
ここでやっかいなのが、ハメ込みやボルト&クリップによる接合部分で、場所を特定できていないと破損してしまうこともある。知っていてもツメを折ってしまうこともあり、余分な修理代が発生しかねないのだ。ボディ側の養生処理が甘いと塗装を傷つけることもあり、板金塗装するとなるとウン万円の修理代は確実! DIYで安く仕上げるつもりが、クルマを壊して追加出費というのでは、あまりにお粗末なDIYカスタムと言わざるを得ない。
エアロパーツの装着となると、塗装済み製品を購入しない限りは『自家塗装』という上級スキルが要求される。本格的なDIYフリークでも、エアスプレーガンや2液式のウレタン塗料、綿密な調色ノウハウ、ホコリを避ける塗装ブースまで用意するのは至難の技だ。修正加工といった職人技が求められる場合もあるので、クオリティを求めるなら最初から板金塗装のプロにお任せしよう。