トマトを積んで農道を行く超絶車高短仕様
田んぼに囲まれた農道を颯爽と駆ける1台の軽トラ。実家の農園の後継ぎとして、トマトやナス、キュウリ、水稲も栽培するオーナー。収穫した野菜をこのS200Pハイゼットに積み、地元のスーパーや直売所に卸すのも彼の仕事だ。
エアロもそうだが、低い車高も農業向きではない。ただでさえ少ないストローク量をさらに減らすことになるし、畦道や舗装状態の悪い道も走りにくくなる。リフトアップならともかく、ローダウンはしない方がきっといい。それを一体どうしてこんなにもベッタベタにしているのだろうか。
「単純に農家の軽トラが車高短だったら面白いと思ったから(笑)。それに自分はどんなクルマでも、乗るならイジらずにはいられない人間。以前は祖父に借りたミニキャブも落としていましたからね。ベタベタでもけっこう普通に乗れちゃいますし、慣れたら特に不便さは感じませんよ」とオーナー。
とはいうものの、やはり尋常な低さではない。一般的に軽トラはFRベースで、リアのサスペンションにはリーフスプリングが使われている。その構造上、特にリアはフェンダー(というか荷台)がタイヤに被るレベルまでは落とせないハズ。フロントだってもともとのストローク量が少ないから、大して車高は下げられないのだが…。
「フロントはインナーを座席のすぐ下まで切り上げ。車高調はワンオフして、ストラットの頭を15ミリほど室内側に飛び出させています。またアッパーマウントにはスライド機構を付け、キャンバーも倒せるようにしました」。
リアのリーフスプリングは本来デフホーシングの上にあるが、それを下に移設するという荒業でローダウン。さらにホーシング自体も短く詰めてリア7.5Jのホイールをねじ込む。また社外ショックに交換&そのロアブラケットを貫通型に作り変えて落ちた車高に対応させ、荷台も一部カットしてタイヤとの干渉を防ぐ。
「足をガチガチに固めると荷台の野菜を傷める。特にトマトなんかはデリケートですからね。こう見えて最低限のストローク量はキープしています」。
シートはレカロSR-3に換装し、キャビン後部のフレームを加工して20ミリほどクリアランスを確保。少しだがシートを倒せるようになったので、純正の直角シートに比べると随分座り心地が良くなったそう。
「農作業用の軽トラなのに低すぎでしょ、と笑ってもらえたら自分的には満足です」。