事前認証制度の導入で性能等確認済表示が必須に
近接排気騒音と違い、加速走行騒音のチェックにあたっては実際にクルマを走らせなくてはならない。また正確に計測するための条件も非常に細かく設定されている。全国各地の車検場で、それを1台1台やるのは不可能だろう。そこで、事前にテストしたらいいんじゃないの? ということになった。
「いわゆる『交換用マフラーの事前認証制度』ですね。具体的には国土交通省の定めた『登録性能等確認機関』にて各騒音をテスト。クリアできた商品は『性能等確認済』の証として認証プレートを付けることができる。それが車検対応マフラーの証にもなるというわけです」。
その認証プレートには登録性能等確認機関名や識別番号、エンジン型式が刻印されおり、車検時にはもれなくチェックされる。そして2010年4月以降のクルマであれば、認証プレート(プレートではなくマフラーに直接刻印されることもあり)が付いていれば基本的には車検OKだが、なしの場合は問答無用で落とされる。
つまりこういう三段論法。
(1)加速走行騒音の規定が加わった
(2)それに伴って事前認証制度が導入された
(3)結果、性能等確認済マフラー以外は車検NGになった
なお、認証プレートは2010年3月までの生産車両対応のJASMAプレートとは異なるのでご注意を。四輪車用の認証プレートには、登録性能等確認機関名を表す「JQR」「JATA」「JARI」のいずれかが刻印されている(加えてJASMAロゴが入っているケースもあり)。
認証を得るためにはかなりの手間とコストが掛かる
この事前認証を取得するには、相応の手間とテスト1回につきウン十万円単位のお金が必要。各メーカーの開発期間や開発費も膨らんでしまっているのが実情だ。
「しかも認証は1車種につき1種類ではない。排気量やNA/ターボといったエンジンの違いはもちろんですが、二駆と四駆でも、ATとMTでも異なり、それぞれで認証を得なくてはならない。1車種だけでも全グレード分を揃えるのはかなり大変なんです」。
おのずと開発するマフラーは人気車種に偏ってしまうし、その中でも適合はメイングレードに絞られたりもする。そう考えると、今はマイナーな車種、マイナーなグレードでは、合法的にマフラー交換できないケースが多いかもしれない。
「人気車種であっても作りにくい車種もあります。たとえばDBスープラやレクサスLC、BMW MINIといった車種は、純正マフラーでもすでに際どい音量。厳しい保安基準を守りながら、社外マフラーのメリットであるプラスαの音やパワーを引き出すのは技術的に大変です」とブリッツの小林さん。