「駐車禁止等除外標章」の適切な使用を
病気の人や身体に障害を持つ人がクルマを利用する場合、クルマから降りてからの移動にさまざまな障壁がある。そこで用意されているのが各都道府県で交付される「駐車禁止等除外標章(身体障害者等用)」だ。この標章が交付されクルマに掲示することで駐車禁止エリアへの駐車が可能になり、歩くのが困難な病気や身体障害者の方でもクルマを利用して外出しやすいようにしてくれるのだ。
ではこの駐車禁止等除外標章(身体障害者等用)はどのような人が対象で、利用できる場所や手順はどうなっているのか、さっそく見ていこう。
交付の対象者と使用方法は?
そもそもこの駐車禁止等除外標章(身体障害者等用)の交付対象者は、下肢不自由(1級から4級までの各級)や体幹機能障害(1級から3級までの各級)、さらには視覚障害、聴覚障害、平衡機能障害、上肢不自由などが定められている。このような条件に該当する歩行が困難な方に交付されることになっているのだ。
駐車禁止等除外標章(身体障害者等用)には大きく「歩行困難者使用中」と表記され、「駐車禁止除外指定車」とも記載されている。クルマを利用する際には標章をクルマの前面ガラスの外部から見やすい場所に掲示しなければならない。もしクルマから離れて直ちに移動できない場合には、連絡先や用務先などを記載した用紙と共に掲出する必要がある。
ただし、駐停車禁止場所や長時間駐車など、標章を掲示しても駐車が認められていない場所もあるので要注意だ。決められた利用場所で正しく使う必要がある。
悪質な不正利用は逮捕されるケースも
ところで、駐車禁止等除外標章(身体障害者等用)はクルマでは無く本人に対して交付されるものなので、交付者本人が所有・運転する車両はもちろん、タクシーやレンタカーでも同様に利用できる。家族のクルマを利用して交付者が移動する際にも利用できる。あくまでも本人に対する標章なので、交付者本人が利用するクルマであれば幅広く利用できることになっている。
反対に必ず守らなければいけない事項のひとつが「他人に譲渡したり貸与しないこと」だ。当然のことだが交付者本人以外は利用できないことになっており、不正利用した場合には標章の返納を命ぜられる場合もあるのだが、それでも悪用する者がいる。
その例としては、家族の一人に交付されていた駐車禁止等除外標章(身体障害者等用)を他の家族が利用するというもの。さらに悪質なケースでは偽造した標章を使って逮捕されたケースも報道されている。多くの不正利用が見つかり一斉に取り締まりをするケースもあるほど。
このような不正利用が横行すると、本来利用するべき障害者がクルマを止める際に利用できなかったり、緊急車両の通行に支障を与えるなどの問題も起きかねない。さらには不正利用が横行することによって、あってはならないが障害者に対する社会的な目が厳しくなることも考えられる。一部の不正利用によって結局は正しく利用している障害者が困ることになるので、駐車禁止等除外標章(身体障害者等用)の不正利用は絶対にやめてもらいたい。