初の量販車となったN360と、現在に通じるパッケージのライフ
T360に遅れてT500やS500が販売開始となり、さらにライトバンのL700/L800、ピックアップトラックのP700/800などが続々と登場してきます。そして本格的な量販車となったのは66年の東京モーターショーで発表され、翌67年3月に発売開始となったN360でした。
これは2輪車のCB450に搭載されたエンジンをベースに開発された空冷の直列2気筒エンジンをフロントに横置き搭載した前輪駆動で、それまでの直4ツインカムのファミリーとは一線を画した基本設計を採用していました。そして発売が開始されるや一気に人気が高まり、それまで軽乗用車のトップセラーだったスバル360から王座を奪うと、71年までトップの座をほぼ独走。総計65万台を超えるロングヒット商品となり、4輪メーカーとしてのホンダの、基礎固めをすることになりました。
そのNシリーズの後継として71年5月に登場した軽乗用車がライフでした。直4ツインカム、空冷2気筒FF、そして1300シリーズに次いで、ホンダとしては第4世代となるライフですが、水冷エンジン+トランスミッションをフロントに横置き搭載して前輪を駆動する、俗にいうダンテ・ジアコーサ式は現在のホンダ各車にも通じる基本レイアウト。
何よりも高回転で絞り出した最高出力をアピールしていたそれまでのモデルとは一転、NVHを重視する、言うならば乗用車らしい乗用車へとコンセプトを展開したことが大きな特徴でした。
もちろん、現在でもNSXのようなスーパースポーツをラインナップし、シビックにはハイパフォーマンスを追求したタイプRが設定されるなど、ホンダらしさはそこここに感じられますが、乗用車メーカーとしての基礎を確立したライフは、ホンダの商品リストの中で、決して見過ごすことができない重要な1台となっています。