スロープが床面収納で普通車としても乗れる
さまざまなタイプが設定されている福祉車両ですが、なかでもニーズが多いのが車いすのまま乗ることができるタイプです。車いすのまま乗り込めるタイプのなかではミニバンベースがなかなかの人気となっています。
とはいえ、ミニバンベースの福祉車両は乗車定員もある程度確保されているので、車いすを乗せて移動するだけでなく、普段使いにも便利だという点も大きな魅力です。
しかし、実際に車いすを乗せての使用となると、クルマの大きさが“わざわい”してスロープを展開して車いすを乗せる場所を確保するのに苦労したり……ということもありがちです。そこで脚光を浴びるのが軽自動車ベースのモデル。今回から数回にわたり各社から発売されている軽自動車ベースの車いす仕様車を紹介していきます。第一回となる今回はホンダ編です。
ホンダの車いすのまま乗車できるタイプのモデルは、「車いす仕様車」のネーミングを使っています。設定車種はフリード+、ステップワゴン、そしてN-BOXです。フリード+もステップワゴンも5ナンバーの小型車ですが、さすがに軽自動車のNボックスほどの取り回しはよさはありません。
N-BOXの車いす仕様車は、N-BOXとN-BOX・カスタムに設定されます。N-BOXはベーシックグレードのG、その上のG・L、そしてターボの3グレードにスロープモデルが設定されます。
一方のカスタムはG・Lグレードのみの設定となります。ですので、ターボモデルが欲しい方はカスタムではなくN-BOXを選択せざるを得ませんが、軽自動車の自主規制値である64馬力のパワーを得られるのは大きな魅力です。
また駆動方式はすべてのグレードでFFか4WDの選択が可能なので、寒冷地のユーザーなども安心してクルマ選びができます。乗車定員は通常時4名、車いす使用時3名となります。
安全機能が充実していている
N-BOXにはホンダセンシングと呼ばれる先進運転支援システムが標準で装備されます。ホンダセンシングはレーダーとカメラをセンサーに採用する支援システムで、横断中の自転車や夜間の歩行者の検知も可能な衝突軽減ブレーキや誤発進抑制機能、歩行者側への車線逸脱のおそれのある場合に音とアラームで警告。
さらにステアリング操作支援も行う歩行者事故低減ステアリングなどの安全機構を実現。車線を維持しながら、車間距離も調整するアダプティブ・クルーズコントロールも装備され、安全性も快適性も高くなっています。安全装備が充実しているため、サポカーSに該当し、運転者が満65歳以上の場合はサポカー補助金(7万円)の対象ともなります。
車いすで乗車する際はリヤシートを前倒しにしたうえで、床部分に格納されているスロープを展開します。スロープは3段式で、引き出した際の突出量は1365mm(4WDは1360mm)、スロープ角度は13度(4WDは14度)となります。乗車時は標準装備の電動ウインチによって操作を楽に行えます。乗車後のスロープは床下まで戻さずに垂直状態で収納することになります。
N-BOXの大きな魅力は車いすを乗せないときにはスロープが床面収納となる部分です。スロープを垂直に立てて収納するタイプの場合、普段使いをしようと思ったときにスロープが邪魔になって荷物の積み込みなどが手間になることがありますが、NーBOXの場合はそれがないのでかなり普段使いでの使い勝手がいいといえます。
また、スロープを利用して自転車などを積み込むということもでき、スロープを上手に使うことで使い勝手の向上が期待できます。福祉車両なので消費税は非課税です(優遇制度の悪用はだめ)。全車が平成30年排出ガス基準75%低減レベルを達成、FF車は2020年度燃費基準+10%達成車、4WD車は2020年度燃費基準達成車となり、各種税金面での優遇措置が適用されます。NーBOXの車いす仕様車は型式指定取得車なので、持ち込み登録は不要となります。
※情報は執筆時のものです。税金関係や装備、サポカー補助金などの詳しい情報はお客様相談センターなどにお問い合わせ下さい。