「マルチテレインモニター」はカメラが悪路走行をサポート
ハードな悪路走行では、車体に道に対する位置、死角、崖っぷちとのクリアランスを知るためなどに、モニターが大活躍するシーンもあるが、ランドクルーザーやレクサスLXの「マルチテレインモニター」は、フロント、サイド左右、リヤに搭載した4つのカメラによる車体周囲のサポートを行なうだけでなく、なんと切り替えスイッチによってアンダーフロアビューなるモードを実装。フロントビューがアンダーフロアビューに切り替わり、車両下の状態やタイヤの位置まで確認することができるのだ。
ちなみに「フロントビュー回転表示」というモードもあり、こちらは車体が大きく傾く場面などで傾斜角に合わせてフロントビューを回転表示。ディスプレイ上の地平線を水平に表示させることで、前方の路面状況、車両の傾きを直観的に確認できるようになる。そうした高度なモニター機能はオンロードでも威力を発揮し、パノラミックビューとして、狭い道でのすり抜けや、すれ違い時などの路肩への幅寄せもサポートしてくれるのだ。
「マルチテレインセレクト」、および「クロールコントロール」は、まさに悪路のための最先端の先進技術であり、オフロード走行技術のスキルに関わらず、余裕でオフロードを走ることができる“神装備”と言っていい。
スバル車やトヨタRAV4の4WDシステムにも注目
以上の機能は、現行型のランドクルーザー(一部機能はオプション)やレクサスLX570に装備されるものだが、冒頭に記したスバルの「Xモード」、トヨタRAV4の「ダイナミックトルクベクタリングコントロール」も、悪路では文句ナシの走破性、脱出性能を発揮してくれる。
スバルの「Xモード」は、フォレスターのほかXVにも用意され、以前、真冬の軽井沢の山奥の特設コースでXVをテストした際、片側雪道、片側雲泥路という極悪なモーグル(登坂路)を、標準のサマータイヤで何の苦も無く走破できた驚くべき経験がある。XVなら立体駐車場への入庫も容易な全高1550mmのボディサイズで都会でも乗りやすく、AWDで最低地上高は200mmを確保してるのでオールマイティに使えるクルマだ。
トヨタRAV4で唯一オールシーズンタイヤを履く「アドベンチャー」グレードに装備される「ダイナミックトルクベクタリングコントロール」もまた、優れた悪路走破性を持つ。
後輪左右のトルクを別々に制御(0~100)する「トルクベクタリングコントロール」と、4WDを必要としない場面で後輪への動力伝達を切り離し、燃費を向上させる「ディスコネクト機構」を備えたもの。
悪路での走破性の高さや走りやすさもさることながら、オンロードでの曲がりやすさもまた注目のポイントだ。それはスポーツモードで顕著になるのだが、例えば左カーブなら、右後輪側から曲りを積極的にアシスト。ステアリングを切った方向に、吸い込まれるようにグイグイと曲がってくれるから痛快だ(オフロードでも同様)。しかも車体の姿勢変化は最小限。ゆったり走っても、先を急いでも、本格クロカンに乗っていることをすっかり忘れさせてくれるほど走りは上質で、安心感、楽しさ満点なのである。
もっとも、悪路走行の相手はあくまで自然。いかに素晴らしいオフロードで活躍する先進技術の持ち主のクルマ、SUVであっても過信は禁物だ。悪路では走行、環境に細心の注意を払った安全運転を心がけていただきたい。