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「高すぎる」と諦めるのは早計! 税制や補助金など「福祉車両」にまつわるお金の話

一見割高に感じるものの補助制度を活用すれば負担は減らせる

 福祉車両は標準車に比べ追加の機能があるため、車両価格が高くなる傾向にある。では、いくらぐらいの差なのだろうか。

 軽自動車の一例として、ダイハツ・タントの場合、運転支援機能の付いたなかでもっとも廉価なLグレード比較では、助手席の回転シートの福祉車両が標準車(スマアシ付・税込価格)に比べプラス5.9万円、

 助手席が回転するだけでなく上下機構の付いた仕様でプラス21.4万円、

 車椅子のまま車体後部のゲートからスロープで乗り込む仕様(スマアシ付)でプラス19.4万円となる。よって標準車よりも5万円~20万円前後高くなるということだ。

 続いて登録車。ホンダ・フィットで調べると、もっとも廉価なBASICのハイブリッド車の助手席回転シートで標準車に比べプラス15.95万円になる。

 新型ヤリスには、助手席のほかに運転席に回転シートを装備する車種が1.5Lガソリン車のみにあり、その廉価グレードのXの場合標準車に比べプラス17.9万円だ。

 ミニバンのノアでは、後ろのゲートから車椅子のまま乗り込む仕様は2.0Lのガソリンエンジン車のみしかなく、そのもっとも廉価なグレードのX(タイプ1)で標準車(税込価格)と比較するとプラス39.36万になる。

 まとめると、登録車ではおよそ15万円~40万円弱か、グレードによってはそれ以上高値になる状況だ。いずれの例も、福祉車両としての補助機能として必要な装備内容次第で標準車との差額に幅はあるが、新車価格の6~7%から10数%高価になるため、予算的に購入を迷うことになっても不思議ではない。

 一方、公共交通機関が十分に整備されていない地域では移動の足として一人ひとりにクルマが不可欠であるのはもちろんだが、障害を持つ人や高齢者はより地域を問わず、移動手段として生活を支える必需品にクルマはなる。

そこで税制や補助金などの支援が用意されている

 税制では消費税と自動車税、軽自動車税について支援がある。そのほかの助成では、資金の貸し付けや、運転免許の取得に向けた支援などがある。

 税制のうち消費税については、車椅子などの昇降装置や、車椅子などを固定する装置を装備する車両は、免除になると規定されている。法律の文面では左記のようになるが、実際には、助手席の回転シートなどを含め、自動車メーカーが福祉車両として販売している車種はいずれも消費税が免税対象となっている。

 このことから現在消費税は10%となっているので、上記のように標準車と価格を比較すると全体的には、車両価格の10%前後高額になる例が多いため、消費税の実質ゼロ化によってその差が相殺されることになる。

 次に、福祉車両を維持する段階で毎年支払う自動車税と軽自動車税についても減免になるが、こちらは地方税の扱いであるため、地域によって減免の税額が変わる可能性がある。逆に、福祉車両でない標準車であっても、体の不自由な人が所有する場合は減免対象になる。あるいは、体の不自由な人が利用しやすいように改造したクルマは全額免除となる。体の不自由な人たちの生活維持に、クルマを保有し続けることが不可欠だとの考え方だ。

 軽自動車税の場合は、車両の構造や障害者手帳の等級の確認が必要な自治体もあるので、この点は確認が必要である。

 税制以外の助成制度にもいろいろあり、まず購入に際しての資金の一部貸し付けが行われる。詳細は、福祉事務所や社会福祉協議会へ問い合わせするとよい。また就職や事業を行うために運転免許証の取得を必要とする際にも、資金の貸し付けの助成がある。運転免許を取得するだけでも数十万円は必要になるので、クルマの購入と合わせ出費がかさむときに、うまく活用するといいのではないか。

日常的に福祉車両を利用する上でいくつかの補助制度がある

 一つはガソリン代の一部を補助してくれる制度だ。ただし、自治体によって実施の有無や助成金額が異なるので、これも福祉担当窓口へ問い合わせが必要だ。

 駐車場も羽田空港など一部で割引をしている所がある。駐車に関してはほかに、福祉車両に限らず体の不自由な人がクルマを使用する際には『駐車禁止除外指定車』の標識が交付され、駐車禁止の規制が除外されるため、各警察署へ問い合わせるとよい。

 高速道路では、体の不自由な人が自ら運転する場合はもちろんのこと、介助する人の運転に同乗する場合も通行料金が割引になる。道路公団管轄だけでなく、都市高速や地方の道路公団が管理する有料道路でも割引の対象となり、あらかじめ登録しておけばETCでの割引利用も可能だ。

 そのほか、フェリーボートも割引になる場合があり、各フェリー会社に事前に問い合わせるといい。

 それぞれ管轄の窓口などでの確認が必要な事例が多く、手間は掛かるが、惜しまず活用し、福祉車両を手に入れることができれば、障害を持つ人や高齢者本人だけでなく、介護をする人たちも、より快適に暮らしてゆけるようになるだろう。

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