【TOM’S】「レース屋」が作った至高のコンプリートカー
トヨタのセミワークスチームとして知られるトムス。創立以来、国内外のレースに積極的に参戦しており、今年は(コロナの影響で開催が遅れているが)スーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパーフォーミュラ・ライツのエントリーが決まっている。そんな「レース屋」がセンチュリーを手掛けたというから、業界では大きなニュースになった。
ネーミングは「TOM’S CENTURY(トムス・センチュリー)」。今年の東京オートサロンで初披露されると同時に、限定36台でコンプリート販売されることが周知された。ちなみに、同時に「TOM’S SUPRA」も発表され話題を呼んだのだが、衝撃度ではセンチュリーの方が上だったかもしれない。
コンプリートパッケージの内容は、車両本体とフロント/サイド/リア/トランクスポイラーのエアロ4点、エキゾーストシステム(マフラー)「トムスバレル」、インテリアのカラーやシートデザインのカスタマイズプランで構成。さらにオプションとして、BBSの超超ジュラルミン製・19インチホイール「RZ-D」、ステアリング貼替えなども用意される。
まずはそのスタイリングを見てみよう。フロントはバンパー丸ごと交換式で、今のところ、こうしたフルバンパータイプを作っているのはトムスのみ。純正バンパーに被せて装着するハーフスポイラータイプのような「繋ぎ目」がないため、自然に見えるのがメリットだ。
フロントリップの左右は張り出しをやや強め、中央をえぐったデザインはいかにもトムスらしい。これはフロントタイヤの抵抗になる空気をセンターに集め、フロア下の流速を上げてダウンフォースを得る、といったメカニズムに基づく造形。相手がセンチュリーとはいえ、レースで得たノウハウをカスタマイズパーツにフィードバックするというトムスの姿勢に変わりはない。
リアはアンダースポイラータイプで、アグレッシブな4本出しマフラー「トムスバレル」に対応。純正とはガラリと印象を変えており、欧州車のような乾いたエキゾーストノートを堪能できる。なおG60型のセンチュリー用の認証マフラーを製品化したのも現状ではトムスだけ。希少だし、トムスが作ったからには性能面も期待していい。
なにしろセンチュリーの純正マフラーは非常に静かだ。つまり出力もそれだけ抑えられている。トムスバレルは当然車検対応だが、触媒のすぐ後ろから交換するタイプで、純正に比べると音量も上がっている。シャシダイナモの測定値などは発表されていないが、トムス広報によると「低中速域を中心にパワーが出ており、ドライビングモードをスポーツ+にすると、よりその効果を体感できる」とのこと。
インテリアも注目。純正内装色は、ウールファブリックがグレー/ブラウン/ベージュ、本革だとブラック/フロマージュの全5カラー展開だが、トムスが用意するは全15カラーの最高級ナッパレザー。さらにシートデザインは「キルトステッチ」「縦スリット」「インナーライン」の3タイプが用意され、縫い合わせ部分はダブルステッチorパイピングを選べる。
価格は税抜2816万円。限定36台の販売となるが、現在(2020年7月)その約半数のオーダーが入っているとのこと。また「TOM’S CENTURYを生で見たい!」という人は、全国のトヨタディーラーで開催される「トムスフェア」に行ってみよう。必ずとは限らないが、TOM’S CENTURYを展示しているケースもある。詳細はトムス公式サイトのインフォメーションにて。