徹底した時代考証の末に完成させた、リアル当時仕様
Y31系セドリック・グロリア・シーマのオーナーズクラブ、Y31保存會の三代目會長を務めるIさん。愛車のY31系シーマは90年代初期のVIPセダンで定番だったスタイル、いわゆる「当時仕様」に仕上げた1台。なかなか手に入らない当時のパーツをふんだんに使用して、ネオクラシカルなY31系だからこそ今っぽい雰囲気が出ないようにこだわった。
エアロはインパル・731Sで統一。たまたま知り合いがインパルのエアロを組んだシーマを売りに出しており、希少なエアロが付いていたことが購入の決め手になったとか。
本来のカタチを崩すような加工は当時っぽい雰囲気が出なくなるため、リアバンパーにサイドマーカーを埋め込んだ程度で抑えている。
小ワザにも力を入れ、Cピラーに取り付けたタイプll-S純正ボンネットバッジ、ゴージャスに輝くゴールドエンブレム、ワルっぽさを醸し出すロンザのスモークテールカバーなど、ツウ好みのアレンジが光る。
ホイールは重厚感あふれるシュティッヒディッシュ。AMGのコンプリートカーをヒントに、ディスク面をボディ同色で塗装するのが90年代前半のトレンドだった。ゴールドのピアスボルトがイカツいオーラを放つ。足まわりはオリジナル車高調で程良くローダウン。
また当時関西地方ではVG30DETエンジンをベースにチューニングするのが流行っていたこともあり、こちらのシーマもタービン交換やHKS製パワーフロー(エアクリーナー)、5速マニュアルに換装など走りも楽しめる仕様となっている。
このシーマに着いている当時のパーツは、ネットオークションや仲間を通じてコツコツ揃えていったもの。
絶対に欲しいパーツがオークションで見つかったら「相手が引くまで押す」の精神で手に入れる。それがIさんのモットーだ。
パーツの少なさにも負けず、オリジナルの加工でアピール
渋いクルマが好きで、年式が生年月日と近かったことに親しみを感じてY31系シーマを買った女性オーナーのTさん。初代シーマは今でも人気があるクルマだが、当時のカスタマイズパーツはなかなか出回らず、もし見つかってもどんどん値が吊り上がってしまう。
しかしこのシーマは当時の雰囲気にはこだわらず、オリジナルのパーツで他にはない個性的なスタイルに仕上げた。
まずフロントグリルは大好きなパーツメーカー、Kブレイクのデザインを参考にしてワンオフ製作。力強い横長のフィンで構成されたKブレイクのグリルが欲しくてメーカーに問い合わせたら、Y31系シーマの設定がなかったことからイチから製作したこだわりの逸品。
エアロは街乗りしやすい小振りなリップスポイラーやマッドガードでコーディネート。サイドステップには筆記体がオシャレなY32系シーマのエンブレムを埋め込み加工して、さり気ないアクセントとした。
ボンネットマスコットはY33系シーマ純正品を、ゴールドに塗装して装着。マニアじゃないと気付かないかもしれないが、デザインが少しだけ違うのだ。純正の雰囲気を残したまま、細かいところで違いを出すのが上手な1台である。
ホイールも当時のクルマに合わせた懐かしいものではなく、あえてワークの現行モデルであるジースト・ST1を装着。Y31系シーマでは珍しい斬新なマッチングで魅せる。
今後はジャンクションプロデュース製のエアロを組む予定ということで、これからの進化に期待したい。