コンパクトカーにも個性がほしい! 純正パーツ対決
トヨタが完全に自社で開発したスポーツカーとして2020年はじめの東京オートサロンで公開され、徐々に詳細が明らかになっている「GRヤリス」。ヤリスと基本設計を共用しながらもプラットフォームは大幅に強化され、ボディも3ドアにオーバーフェンダーを組み合わせた専用設計とするなど、クルマ好きとしては注目せずにはいられない1台だ。
ホットモデルのエンジンは272psを発生する1.6Lターボで駆動方式は専用開発の4WD。車種ごとの製造時間の変化に対応するため、ベルトコンベアではなく台車を使って車両を流すGR専用ラインで手作業に近い形で作られるなど、効率を追求することが得意な日本車としては異色の製造方法もロマンである。
また、1.5L自然吸気エンジンにCVTを組み合わせてFFモデルが用意されることもアナウンスされている。
そんな魅力的なGRヤリスだが、購入の前に立ちはだかるネックは価格が高いこと。1.6Lターボエンジン+4WDで先行予約限定モデルとなる「RZ”First Edition”」は396万円、前後のトルセンLSDやBBS製鍛造アルミホイールなどを加えた「RZ”High-performance·First Edition”」は456万円(いずれも予価)。鍛え上げられた高い性能を考えれば内容に対して高い価格ではないのだが、絶対的な価格とすれば気軽には買えない値段だ。簡単には決断できない。
もちろん自然吸気エンジン+FFモデルであればもっと手が届きやすくなるが、それでも作りを考えるとどんなに安くても250万円は超えるのではないだろうか。外板には高価なアルミやカーボンを使っているので、もしも200万円台前半ならばバーゲンプライスだ。
そこで、気になるのが自動車メーカー系のブランドからリリースされている市販パーツでカスタマイズしたコンパクトカー。個性的なコンパクトカーはGRヤリスの他にどんな選択肢があるのか考えてみたい。
ちなみに今回のテーマはあくまで見た目。中身の性能アップよりも、スポーティなスタイリング重視の視点での対決であると、前置きしておこう。
現行ヤリスもTRDカスタムでより気迫あるスポーティ
「GR」として販売店で装着できるカスタマイズパーツも用意されていて、「GRフロントスポイラー」「GRサイドスカート」そして「GRリヤサイドスポイラー」の3つのパーツを取り付けるだけでもイメージは大きく変わる。その3点はそれぞれでも購入できるが、セットで購入すると14万5200円(税込み/取り付け費抜き)だ。
たとえばヤリスのガソリン車最上級グレード「Z」はMTモデルで187万1000円(税込み)。そこへGRのエアロキットを取り付けても200万円ちょっとで手に入るのだから大いに魅力だ。加えてアルミホイールも交換すると、かなりスポーティな雰囲気となる。
フィットは無限の「for Dash」でガラリ変身
そのエクステリアをモデファイするアイテムを用意しているのが「無限」だ。無限はホンダとは別会社だが、ホンダ車専門で関連は深く、ホンダ車を使ったレース活動でもおなじみのブランド。
無限の新型フィット用アイテムはカジュアルテイストの「for Skip」とレーシーな「for Dash」の2つのテイストがあり、スポーティなのは後者。「フロントアンダースポイラー」(7万1500円)、「サイドスポイラー」(6万500円)、「ウイングスポイラー」(7万3700円)、そして「リヤアンダースポイラー」(6万6000円)などが設定されている(価格は全てカラード仕上げで工賃別/税込み)。
新型フィットの最上級グレードは「LUXE(リュクス)」でガソリン車のFFモデルは197万7800円。前述の無限のエアロパーツを装着するにはセットならさらにお安く、205万円(+税金)ほどでスポーティなスタイルの新型フィットが手に入る。
ノートはNISMOスポーツモデルをさらにスタイリングアップ
だが実はノートにはカタログモデルとしてスポーツモデルが用意されている。それが「ノートNISMO」。NISMOとは日産直系のモータースポーツブランドだ。
ノートのカタログにも掲載されていてディーラーで通常のグレードと同様に購入できる「ノートNISMO」は専用デザインのバンパー、サイドステップ、リヤバンパーとアルミホイールを装着。サスペンションなど見えない部分まで強化されているコンプリートカーだ。
さらに、1.2Lエンジン+CVT、1.6Lエンジン+5MT、e-POWER(シリーズ式ハイブリッド)などドライブトレインの選択肢が広いのもうれしいポイント。価格は209万4120円からだ。
それだけでも十分に「ヤリス+GRパーツ」や「フィット+無限エアロ」と互角以上の内容だが、何を隠そう今回のテーマは「メーカー直系の市販パーツを装着」。そこでパーツをチェックしてみると、ニスモとして「カーボンドアミラーカバー」(4万3000円)や「ピラーガーニッシュ」(3万4500円)などを市販パーツとして用意している。特に前者は、レースなどで使われる軽量のドライカーボン素材で作られた本格派だ。
それらを追加しても、217万円(1.2Lモデルをベースにした場合)ほどで、スタイリングだけでなく走りの味付けまでされたスポーティ仕様を楽しむことができる。そう考えると、レーシーなドレスアップを施したコンパクトカーとしてピックアップした上記3台の中で、もっともコストパフォーマンスに優れているのはノートだろう。
そして結論。もしGRヤリスの1.5L自然吸気エンジン+CVTのFFモデルが250万円以下で販売されたとしたら、それはミラクルともいえるバーゲンプライスだ。はっきりいって“買い”である。
価格まで含めたGRヤリスの詳細が正式に公開されるのは、9月頃まで待たないといけないかもしれない。期待しながら楽しみに待つもよし、好みの選択肢を探るのもこれまた楽しいものだ。