貼らないと緊急時に対処ができないモノも
お手軽なドレスアップの定番といえば、誰もが思い付くであろうステッカー。パーツのブランドやキャラクターなど多種多様だが、なかには意味が分かりにくいモノもある。その代表ともいえるアイテムを数種類ピックアップして、本来の目的や由来を解説してみたい。
まずはレーシングカーから生まれたステッカーで、特に見かける頻度が高いと思われるふたつを紹介。青地の三角に赤で稲妻のような矢印が書いてあるのは、キルスイッチと呼ばれる電源を強制的にカットして、エンジンを停止させる装置の位置を指す。普通のクルマであればキーを回してエンジンを止めるが、レースカーは緊急時に火災などの二次災害を防ぐため、外部にキルスイッチを装備するのが当たり前。
その場所を誰もがパッと見ただけで分かるように、共通のデザインが採用されているというワケだ。消火器を設置してある場所を示すステッカーも同様で、コチラは白地の円形に赤で“E”と書いてあり、Eは消火器を英語にした『FireExtinguisher』からきている。
レーシングカーの定番といえば、バンパーに貼られた矢印も忘れてはいけない。
コレは牽引フックの位置を示しており、クラッシュやコースアウトした車両を速やかに回収することが目的。純正の牽引フックはバンパーのカバーを外さないと使えなかったり、ローダウンやエアロを装着した車両では使えない場合もあるため、最近は一般の走行会でも専用の牽引フックが推奨されている。
余談だけど昔の鉄製で固定式の牽引フックは、突起物で事故のダメージを大きくする危険性があるため、現在は折りたたみ式もしくはシートベルトの生地を使った布製がメジャーだ。ステッカーと呼ぶべきかどうかは微妙だが、ドライバー名や血液型を貼るのもお約束。
輸入車で見かける「I」や「D」の意味とは?
続いてはレーシングカー由来じゃなく、かつ貼っている人が多いステッカーを挙げてみよう。輸入車でよく見るのは正式名称を『国際識別番号』という、白地の楕円形にアルファベット1~3文字を黒で書いたステッカー。
自動車を登録した国じゃない国で運転するときに表示する、ジュネーヴ条約の規定に準拠したデザインで日本は『J』と定められている。他の有名どころでいうとアメリカは『USA』となり、イギリスは『GB(GreatBritain)で、ドイツが『D』でフランスが『F』でイタリアが『I』スイスが『CH』だ。
ほかにも縦型でリボンを結んだ形状をしており、多くはマグネット式のステッカーも割と有名だろう。元々はアメリカで生まれた社会貢献の意志を示す、リボンマグネットと名付けられたアイテムであり、プロジェクトごとにデザインの異なるステッカーが製作され、購入した金額の一部がその事業に対して充当される仕組み。
最後はアメリカの国道など種別を示す標識がモチーフのステッカー。インターステートと呼ばれる州をまたぐ高速道路から国道、州道と規格によってベースとなる標識の形状は異なるが、特に人気が高いのはアメリカの母なる道として世界中にファンが多い『ルート66』だ。
アメリカが好きなオーナーの経営するカーショップや飲食店では、内側の数字や文字を変更したオリジナル品を作っているケースも少なくない。