高速道路の割引で障がい者の活動をサポート
福祉車両に関連する諸経費については、優遇や割引、税金の減免などの制度が設けられているが、高速道路の利用に関しては「障がい者割引制度」というものがある。障がい者本人だけでなく、同乗して移動する際にも適用されるケースがあるので、この制度の適用条件や利用方法などについて見ていきたい。
ETCの有無に関わらず利用可能
身体障がい者などが有料道路を利用する際に受けられる「障がい者割引制度」。これは「身体障がい者本人が運転する」場合、または「重度の身体障がい者の方、もしくは重度の知的障がい者の方が同乗し、障がい者本人以外が運転する」場合に受けることができる制度だ。
つまり障がい者本人が運転するクルマはもちろん、障がい者が同乗していれば家族などが運転するケースも同様に割引が受けられる制度となっている。ただし、いずれも場合も登録した特定の車両でのみ割引が受けられるので要注意だ。
ETCの有無に関わらず、この制度を利用すれば通行料金の大幅な割引が受けられるので、該当するユーザーであれば積極的に利用するといいだろう。割引率としては手帳を利用した割引の場合は通常料金の半額、ETCを利用する場合はETC通常料金の半額に。端数が生じる場合は10円単位で切り上げられる。
有料道路での利用方法は(1)身体障害者手帳または療育手帳に事前登録した際に記載された必要事項を料金所の係員に見せて割引を受ける方法と、(2)あらかじめ登録しておいたETCを使って無線通行する方法がある。いずれも事前の登録が必要だ。
割引の対象となるのは、障がい者本人が運転する場合は身体障がい者手帳を交付されているすべての方が対象。また、身体障害者手帳の交付を受けている方のなかでも重度の障害(身体障害者手帳又は療育手帳に記載されている「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額」の第1種と同じ範囲)を持つ方であれば、本人が同乗していれば本人以外が運転しても割引の対象となる。
役所での事前登録が必要
そもそも障がい者割引を利用するには、事前の手続きが必要になる。具体的な方法は、身体障害者手帳または療育手帳を管理している市区町村の福祉担当窓口で事前登録が可能だ。
前述(1)の料金所ゲートで身体障害者手帳または療育手帳を使って割引を受ける場合は、事前登録を済ませた手帳に「自動車登録番号等」および「割引有効期限を記載したシール」を貼付。これを料金所の係員に見せることで割引を受けられるようになる。
一方(2)のETC利用で割引を受ける場合は、福祉担当窓口で発行された「ETC利用対象者証明書」を「有料道路ETC割引登録係」に送付する必要がある。このETCカードと車両の登録を完了させることで、ETCで割引が受けられるようになるのだ。
継続して利用するには更新手続きを
障がい者割引は“一度登録すれば永久的に使える”というものではなく、利用を続けるには更新手続きが必要。有効期限は「登録手続きを完了した日から2回目の誕生日まで」となる。その後も更新手続きが必要になるのでお忘れ無く。更新の申請は新規当初申請と同様で市区町村の福祉担当窓口にて行なう。有効期限の2カ月前から手続き可能だ。
この割引制度は、障がい者が通勤・通学・通院などをする場合に有料道路を利用しやすいように設けられている制度だ。一部では不正利用の報告もあるが、正しく利用して障がい者の自立と、社会経済活動への参加支援を絶対に妨げないようにしたい。