昔のサーキットじゃ必ずやっていた 灯火類のテーピングが不要になった理由
サーキットを走る直前に行なうクルマの下準備。ゼッケンを貼りタイヤの空気圧をチェック……。ココまでは今も昔も変わらない。だが以前はお約束だった『灯火類のテーピング』が、今は不要になっていると聞く。その真偽といらなくなった理由を調べてみよう。
テーピングなしの根拠は樹脂レンズの台頭だった
そもそもヘッドライトなどの灯火類に、テーピングする理由は何なのだろうか。答えはいたってシンプルで、事故で破片が飛び散るのを防ぐため。破片を他のクルマが踏めばパンクによる二次災害に繋がるうえ、コース清掃が大変だったりスタッフがケガをする可能性もある。
以前は走行前のブリーフィングで必ず説明されたし、テーピングを忘れると走行できないことが大半だった。ところが近年では『テーピング不要論』も多く聞かれ、実際に何も貼らずサーキットを走っているクルマが多い。
その理由はヘッドライトの主な材質がガラスから樹脂に変わり、飛散防止の対策をする必要性が低下したこと。割れたとしても破片が細かくならず、断面もガラスに比べれば鋭利じゃないので、テーピングは意味がないとの声が増えている。
「不要論」に対するサーキット側の見解
ではサーキット側はどう考えているのだろうか。数々の公式レースが開催されるスポーツランドSUGOでに聞いてみた。
「今はほぼ見かけませんがガラス製のヘッドライトのみ、飛散防止のテーピングをお願いしています。樹脂製も割れて飛び散ることはありますが、ガラスよりはるかに危険性が低いことから、テーピングなしで走行してもOKという考えです。モチロン樹脂製の灯火類にテーピングするのがダメ、というワケではありません。念には念を入れて貼っておきたい、という考えの方も少なからずいらっしゃると思います」。
さらにリーズナブルな料金で知られるリンクサーキットも同様で、樹脂製であれば走行に際しテーピングの必要はない。ただしフリー走行より接触の可能性があるレース形式で、自社で主催する場合は材質を問わず灯火類へのテーピングを必須としているそうだ。
このようにサーキットやイベントの内容または主催者によって、現在も灯火類のテーピングを必須にしている可能性があるし、ゼッケンの貼り付けや簡易的な補修などテープの使い道は多い。
なのでテープを持って行く必要性は変わらないし、もしガラス製のヘッドライトであれば今も昔もテーピングは必須。
その際はガラス部分だけに貼るのではなく、テープの端が必ずボディ側までかかるようにしないと、飛散防止という本来の目的が果たせないので注意したい。