待ちに待ったSUPER GTの2020年シーズン 無観客で開幕
国内で最も人気が高く、また国際的にも関心の高まっているSUPER GTの2020年シーズンがようやく開幕した。
当初は3月末に富士で2回目の公式テストを終えた後、4月上旬に岡山国際サーキットで開幕する予定だった2020年シーズンだが、新型コロナウィルスの感染拡大をうけてスケジュールを大幅に変更。6月末に報道陣をもシャットアウトして富士で第2回目の公式テストを行った後、先週末の7月18~19日に富士スピードウェイにおいて、ようやく開幕を迎えることになった。
新たにデビューする新型のGRスープラや、FRにコンバートされたNSXなど、ニューマシンに対する興味だけでなく、このコロナ禍における新たなレース・イベント運営の仕方など、これまでのレースファンだけでなく多方面から関心の高まっていたレースをリポートしよう。
関係者1700名が対コロナウィルスへの細心の注意を払って迎えた
新型コロナウィルスの感染拡大を避けるためには『3密を避け』『マスクを着用し』『自らが健康を管理する』ことが必要とされている。そして今回の開幕戦に向けては、参加者(ドライバー&チーム)やメディアも含めて関係者全員が、毎日の体温チェックや健康状態の問診票を大会の当局に報告・提出することから始められた。
毎日の体温チェックは大会2週間前から始まり、直前には健康状態の問診票を提出。何よりも参加関係者の絶対数を制限し、チームスタッフは15名以下とし、レースクィーンの参加は禁止。
通常なら200名を超えるメディアも70名ほどに厳選されていた。これに競技役員などを含めた関係者全員で総計1700名。その全員の体温を毎日チェックするシステムづくりも含めレースが行われる随分前から、関係者の努力が続けられていたのだ。
残念ながら観客の方までに及ぶ2週間の厳密な健康チェックは無理なこともあり、開幕から数戦は無観客でのレースとすることが発表されているが、主催者は現場のシーンを届ける無料放映、なども予選で展開している。
現場でもマスクは必須 厳重な体温チェック
当日、富士スピードウェイでは東ゲートのみを使用し、入場者全員の体温をチェック。担当の係員はマスクに加えてアクリル製のフェイスシールドを着用する念の入れようだった。
パドックでも各チームのピットは入場者を厳重にコントロール。多くの場合はピット訪問者エリアを設け、そこでまずはマネージャーさんが対応するスタイルをとっていた。気心の知れたチームでも、これまでのように気軽にピットの中まで入り込めない(入り込むのをためらうような)雰囲気が醸し出されていた。
メディアセンターでも入り口に、非接触方式の体温チェックモニターが設けられ、通り過ぎるたびに「体温、正常です」と声かけされていた。
驚かされたのはその分析力で、たまたまマスクから鼻が露出していたメディア関係者が通り過ぎようとすると「マスクを装着してください」とアナウンスが流れ、周囲にいた関係者も驚くやら苦笑いするやら、という状況だった。
ちなみに、サーキットには普段から取材でお世話になっている日本モータースポーツ記者会から新型コロナウイルス感染防止対策として、不織布マスク、除菌アルコールスプレー、手洗い液体石鹸、紙ナプキンが寄贈されていた。
記者会見や仮表彰式も3密を回避
SUPER GTレースでは、予選や決勝レースが終了した直後に、ポールシッターや優勝者を招いて共同記者会見を実施しているが、ここでも3密を回避。
これまでは会見に臨むGT500とGT300、2組のドライバー4名が横一列に並んで会見を行っていたが、今回は写真のように4人のドライバーがそれぞれソーシャルディスタンスを保って着席。個別の質問者にはシールドに囲まれた質問者席が用意されるという念の入れ方だった。
そしてレース後の表彰式でもトロフィーの手渡しはなくなり、アルコールで除菌したトロフィーをポディウムの上に用意しておき、登壇者が自らそれを手に取るスタイルとなっていた。
これを撮影するカメラマンエリアも厳しく制限されているが、何よりも登壇するドライバーが全員、マスクを着用しているのは、すこし違和感が感じられなくもない。喜びの表情を分かち合えるシーンがどうなるのか、粛清とはいうもののウィズ・コロナの中での新しい生活様式として、レース界でも定着していくのかもしれない。