6気筒と言っても直6だけじゃない! 歴史に残るV6の名機たち
現在、メーカー各社のラインナップを見てみると、小型乗用車では4気筒エンジンが多数派を占めています。しかしその一方で、上級モデルでは2Lとかオーバー2Lの6気筒エンジンを搭載したクルマも少なくありません。そして日産のスカイラインGT-Rのように6気筒エンジンを搭載することで、そのプレミアム性を高めて神話が誕生したモデルもありました。
6気筒エンジンと言えば、国内では1963年にプリンス自動車工業(66年に日産自動車に吸収合併されて消滅)が2LSOHCで直列6気筒のG7型エンジンをグロリアに搭載して投入して以降、直6レイアウトは数多くの名機に採用されてきました。その一方でV型6気筒も見逃すことはできません。今回は、そのV型6気筒の国産エンジンで、名機と呼ばれたユニットを幾つか紹介していくことにしましょう。
国産初の乗用車用V6エンジンは技術の日産がリリースしたVG型エンジン
世界で初めてV6エンジンを搭載した乗用車は、1950年に登場したランチア・アウレリアでした。
それでは国内で初めてV6エンジンを搭載した乗用車は、と言えば83年に登場した6代目となるY30系の日産セドリック/グロリアです。
それまで日産の基幹エンジンとしてさまざまなバリエーションを生み出してきたL系にとって代わるべく当初から2LのVG20(ベーシックなVG20Eとターボを組み込んだVG20ET、後にはツインカム+ターボのVG20DETも追加)と3LのVG30(当初はベーシックなVG30Eのみで、3か月後にフェアレディZ用としてターボ仕様のVG30ETが追加)が用意されていました。
直6からV6にコンバートされたことでエンジンの全長が短くなった結果、Y30系でもホイールベースを先代モデルから40ミリ延長していましたが、84年に登場したPU11系のブルーバード・マキシマは、国産車として初めて前輪駆動にV6エンジンを搭載したモデルとなりました。
またVG系はエンジンチューナーとして定評のあったエレクトラモーティブ(後のNPTI=ニッサン・パフォーマンス・テクノロジー)がチューニングし、マーチ製のシャシーに搭載されて80年代半ばに全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権などグループCレースで活躍したことも鮮明な記憶となっています。
トヨタのフラッグシップ クラウンに搭載された最新V6エンジン
ターボに続いてV6エンジンの導入でも日産自動車に先を越されたトヨタ自動車ですが、87年にはカムリ・プロミネント用に2Lの1VZ-FE型V6エンジンを投入しています。
ちなみにこのユニットは、FEのネーミングからも分かるように、国産の前輪駆動用としては初のツインカムのV型エンジン、正確にはカムは4本で、トヨタも“フォーカム”を謳っていました。
その後も主に前輪駆動の上級カテゴリー車両に搭載されて進化を続け、やはり前輪駆動用に特化したMZ系へと進化していきました。
一方、クラウンを筆頭とした後輪駆動車用の6気筒エンジンは、長い歴史を誇ったM型系からG型やJZ型、FZ型といった発展モデルへと移行していましたが、2003年の12月に登場した12代目となるS180系クラウンでは縦置きの後輪駆動用V6となるGR型が搭載されていました。
パフォーマンスはもちろんですが、トヨタのフラッグシップであるクラウン・マジェスタ用としても納得できる静粛性/低振動性も大きな特徴となっていました。
そして実際、V8エンジンを搭載していたクラウン・マジェスタだけでなく現在ではレクサスLSにも搭載されるようになっています。
日本のモノ作りの本領を発揮 世界最小排気量を競った2つのV6エンジン
ここまでプレステージ性の高いモデルに搭載された、排気量も2~3LオーバーのV6エンジンを紹介してきましたが、今度は反対に、排気量の小さなV6エンジンを紹介していきましょう。
先ずは91年6月に登場したマツダのユーノス・プレッソに搭載されていたK型V6エンジンから。3か月前にジュネーブショーでデビューした際はMX-3のネーミングが使用されていましたが、ユーノス・チャンネルからの発売となりユーノス・プレッソと名付けられました。
1.8L(正確には1844cc)のツインカム4バルブで140馬力を発生するK8-ZEユニットは当時、V6エンジンとしては世界最小排気量で、マツダもコンパクトな高級車用のユニットであると標榜していました。
しかし当時は競争も激しくユーノス・プレッソの登場から半年経った92年02月に三菱自動車から1.6ℓ(正確には1597㏄)の6A10ユニットを搭載したランサー6/ミラージュ6が登場。 世界最小排気量V6エンジン、というタイトルは奪われてしまいました。
こちらのパフォーマンスも140馬力と、マツダのK8-ZEユニットと肩を並べていました。ただし、300cc前後という気筒当たりの排気量は、運転させた際の抵抗が相対的に大きくなり、環境性能で後れを取るというウィークポイントがあり、結局、2台ともに姿を消すことになってしまいました。