7)スクラブ
スクラブとは新品タイヤのナラシのことで、タイヤの皮むきともいう。スクラブを終えたタイヤは、グレイニングが起きにくかったり、天気が下り坂のときなどでも温まりやすかったり、タイヤの安定感が出しやすくなるが、そのために新品タイヤを数周走らせることになるので、一長一短でもある。
8)デグラデーション
簡単にいうとタイヤの摩耗による性能低下のこと。タイヤは周回するごとにその性能が低下していく。そのため、「このサーキットの1周あたりの“デグ”は、コンマ2秒」といった具合に使われる。
9)ブリスター
タイヤの温度が上昇しすぎて、表面に気泡ができること。タイヤ内部が熱で沸騰してしまうのが原因。ブリスターができるとグリップ力が落ちて、タイムも当然落ちてしまう。
10)マーブル
コース脇に散らばるタイヤカスのこと。レース周回が増すごとに増えていくので、レース後半にオーバーテイクなどでレコードラインを外すと、マーブルがタイヤの表面にたくさん付着し剥がれるまで、一時的にグリップがダウンする。そのため、追い抜きをかけるクルマも抜かれるクルマもマーブルを拾わないように気を遣う。
余談だが、日本でF1が開催されている鈴鹿サーキットとツインリンクもてぎで販売されている人気のお土産「タイヤカスさきいか」は、このマーブルを模した黒いさきいか=食品だ。
11)ワーキングレンジ
タイヤの作動温度領域のこと。レース用タイヤはこのワーキングレンジが狭いので、適正な温度領域を5℃でもはずれると、期待したグリップが得られなくなるので、路面温度や気温の変化には神経を使う。
タイヤに関する用語だけでも結構な数があり、ややこしく思えるかもしれない。逆にいえば、それだけタイヤがレースの勝敗を左右するということでもあるので、タイヤに詳しくなることで、ちょっとマニアックなレース観戦を楽しんでほしい。