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夏の海でじつは多い「砂のワナ」! 泣きを見る前に憶えておくべきクルマの「スタック脱出方法」とは

むやみなアクセル操作は状況を悪化させることも…

 夏のマリンレジャーに限らず、クルマで海へ出かけた時に起きがちなトラブルのひとつが砂浜でのスタックだ。「少しなら大丈夫だろう」と慣れない砂地へとクルマを乗り入れた瞬間にタイヤが空転し、慌ててアクセルを踏み込むとますますタイヤが砂をかいてしまってクルマは完全にストップ……。

 同様にウインターレジャーでは深い雪でスタックする場合もある。そこで今回はこのようなピンチに陥ったときに試してほしい脱出方法について、砂浜でのケースを例に紹介したい。

状況を見極めることが大切

 まずタイヤが空転を始めた段階で注意することは、タイヤが砂地をしっかり捉えてない状態で無理にアクセルを踏み込まないこと。無理にアクセルを踏み続けてしまうとさらにタイヤが砂を掘って傷口を広げてしまうからだ。いったん冷静になって状況を見極めたほうが、早期に脱出できる可能性が高いだろう。

 そもそも自分のクルマが2WDなのか4WDなのか、どの程度の砂地なのか、傾斜を見て前進した方が良いのか後退した方が抜け出しやすいのか、などを総合的に考えて脱出プランを立てよう。

ステアリングは中立位置でゆっくり発進

 愛車が2WDと4WDに切り換えられるタイプ(パートタイム4WD)なら、4WDに設定。ローギアの「4WD-Lモード」などがある場合は迷わず切り替えて脱出を試みよう。

 脱出する際はハンドルは真っ直ぐにして砂の抵抗を減らす。アクセルは急激に踏み込まずじわりとトラクションを掛けるようにする。またクルマが動き始めてからもハンドルを切る角度は最小限にすることで再度スタックしてしまうことを防げる。そしていったんクルマが動き始めたら路面の安定した場所まで止まらずに移動させること。

砂地を水で湿らす方法もアリ

 ここまでの方法で脱出ができなかった場合、次のステップに移ることになる。まずクルマの状態を見て4輪のタイヤでクルマが自立している(ボディ下部が砂地に接地していない)状態であれば、最初に試したいのがゆっくり後退し、すぐさま勢いを付けて前進する方法。何度かこの動作を繰り返してクルマに勢いを付けると脱出できることもある。このときに安全を確保しつつ周囲の人にクルマを押してもらうことも、脱出の可能性を高められる。

 また、サラサラの乾燥した砂地の場合、少し水分を含ませて砂地の粘度を高めるのもひとつのアイディアだ。水分で路面が少し硬くなり脱出できる可能性が出てくる。

道具を使った脱出方法

 ここからは道具が用意できる環境にある場合の方法を紹介しよう。もっとも役立つのがシャベル(無ければ木片などで代用する)。タイヤのまわりを掘って、タイヤの形に掘れてしまってる砂地をなだらかにすることで脱出できることもある。掘るのは駆動輪(FFなら前輪、FRなら後輪)の周辺を、余裕があれば4輪部分すべてなだらかにできればベストだ。

 さらに脱出の効果を上げるのはタイヤの下に板材などを挟み込んでこれをレールのように使って脱出する方法もある。丈夫なフロアマットなどを代用品として使うこともできる。

 また専用のアイテムとしては「サンドラダー」と呼ばれる砂地のスタック脱出用プレートも市販されている。頻繁に砂場や雪深い場所へ行くことがあるユーザーならトラブル対策として用意しておくと良いだろう。

JAOS「スノーアンドサンドラダー」

重症時はジャッキの出番

 次にタイヤがかなり空転して砂にしっかりハマり込んでしまい、ボディの下部が完全に砂地に設置している場合は、これまでの方法では脱出は不可能だ。そんな重症のスタック状態になった場合の対策のひとつがジャッキを使う方法だ。

 砂を掘ってジャッキを置く場所に石やブロックなどの硬いものを敷きジャッキを設置。クルマをジャッキアップしてタイヤが浮いたところで下に砂利や板などを敷いて、足場を強固に固めて脱出しやすくする。砂地でのジャッキアップは危険が伴うので十分注意して行なう必要がある。

 ただし、いずれの方法も確実に脱出できるとは限らない。波打ち際など水没が心配される場所ならば時間との勝負になるので、すぐにJAFや民間のロードサービスに救援を依頼するのが賢明だ。また近くのクルマでけん引ロープを積載しているクルマがいれば助けてもらう方法もかなり効果的。慣れないスタック脱出は思った以上に時間がかかるので要注意だ。

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