「基本的」には排気量を示す
ルーツは、いわゆるルパン三世の愛車のチンクエチェントをベースにしたアバルトにさかのぼる。当初はアバルト500としてリリースされたが、1963年に登場したのがアバルト595で、翌年にはアバルト695も発売されている。
想像が付くように、排気量を表しているのだが、じつはそれぞれ595ccと695ccというわけではなく、正確には593.707ccと689.548ccとなる。
最初に出たほうは、切り上げても594ccでゴロが悪いことから、595にしたとされているし、それに続くということで695にしたというのも想像に難くない。確かに字面的にも精悍な感じがする。ちなみにオリジナルの500ccと比べて、グレードにもよるが倍以上のパワーを出している。
往年のネーミングを引き継いだといえば、ほかにはエッセエッセキットがある。いわゆる純正のチューニングキットで、エッセエッセというのはアバルト595と695に用意されていたスポーツグレードのこと。エッセとはSのことで、エッセエッセとはSSとなり、英語でのスペシャルスポーツなどの意味が込められている。
これだけでなく、ワンメイクレース用の車両に付けられたアセットコルサもアバルト595エッセエッセと695エッセエッセに存在したグレードで、意味としてはレース用セットアップ。以前話題になったレースシミュレーションゲームの名前になっていたのは、このためだ。当時のアセットコルサもレース参戦を想定して発売され、ワイドフェンダーや10インチホイールによるローダウンなど、迫力十分のフォルムとなっている。
そのほか、純正のスポーツマフラーであるレコードモンツァは、チューニングマフラーメーカー(マルミッタアバルト)でもあったアバルトの代表的なシリーズの名前に由来したもの。
このように、知る人ぞ知る的に、細かい部分でマニア心をくすぐるネーミングづけがされているのを見るとなんともうれしくなってくる。