障がい者マーク自体はAmazonでも入手可能だが……
自動車の運転に関する障がい者マークには、車いすがデザインされた国際シンボルマーク、四葉のクローバーがデザインされた身体障がい者マーク、蝶々をあしらった聴覚障がい者マークがある。ここではあらためてそれらのマークが意味するところ、そして、マークの入手方法などについて調べてみた。
また、障がい者マークをクルマにつけているからといって、自動車税が優遇されたり、駐車禁止が除外されることなどは、別の届けや申請が必要になる。この件に関しても別途、触れておく必要があるだろう。
▉道路交通法に関わるか否かで大きく意味が違う
はじめに、障がい者マークとひとくちに言っても、大きく分けて法的な効力が「ある」か「ない」か二種類のマークがあることを、知っておくことが最も大事である。家族や大事な人を含め、当事者でもない限り、なかなかそういった事情に触れる機会は少ない。
クルマの運転に関わる障がい者マークのなかで、大勢が知っているのが車いすマークだろう。高速道路のパーキング、ショッピングセンターやコンビニエンスストアの駐車場にもたいてい描かれているし、マグネットタイプの車いすマークが福祉車両に貼付されているような光景もよく見かける。これがひとつ。
あとの2つは、ご存知の方は少ないかもしれないが、四葉マークの身体障がい者標識(マーク)と蝶々マークの聴覚障害者標識(マーク)の二種類がある。
政府の関連機関から紹介されているクルマに関係する障がい者マークとしては、「車いすマーク」「身体障がい者マーク」「聴覚障がい者マーク」の3つになるのだが、この3つのうち、法的効力がないのが「車いすマーク」であり、法的効力があるのが「身体障がい者マーク」と「聴覚障がい者マーク」になる。
分かりやすく分類すると
<法的効力なし>
・車いすマーク
<法的効力あり>
・身体障がい者マーク
・聴覚障がい者マーク
ということになる。
それでは次に、これら3つの障がい者マークについて詳しく見ていこう。「身体障がい者マーク」と「聴覚障がい者マーク」は、警視庁発信の『自動車の運転者が表示する標識(マーク)について』という内容に沿ってまとめてみた。
▉車いすのマーク(国際シンボルマーク)
政府機関によって、正しくは「障害者のための国際シンボルマーク」と呼ばれているのが、いわゆる世間一般的に認識のある車いすマーク。いわば、世界共通のシンボルマークなので、日本国内であっても法的効力はない。これは、障害者が利用できる建物、施設であることを明確に表すことを目的に使われるもので、マークの使用については、国際リハビリテーション協会の「使用指針」により定められている。
車いすのデザインがされてはいるが、車いすを利用している人を限定するものではなく、すべての障害者を対象としていることは特筆すべき点だと言える。
例えば、車いすマークがある駐車スペースは、障害者が優先してクルマを止められるようにまわりの配慮が必要ではあるが、車いすマークのステッカーが貼られているクルマは「障がい者が乗っていますよ」という広い意味で捉えるのがいいようだ。
▉身体障がい者マーク(道路交通法規定によるマーク)
身体障がい者マークとは、四葉のクローバーがデザインされていて、肢体が不自由であることを理由として、運転免許にその条件がついている方が運転するクルマに表示される身体障がい者標識のこと。表示義務については「表示するように努めてほしい」という努力義務になっていて、表示しない場合でも罰則はない。
ただし、対象者が身体障がい者マークを表示して運転している車両に対して、「幅寄せ」や「割り込み」をした運転者は、道路交通法の規定により罰せられることになっている。
▉聴覚障がい者マーク(道路交通法規定によるマーク)
聴覚障がい者マークとは、蝶々のデザインがされていて、法令で定める程度の聴覚障害であることを理由として、運転免許にその条件がついている方が運転するクルマに表示される聴覚障がい者標識のこと。聴覚障害者マークは身体障害者マークとは違って、表示する義務があり、表示しない場合は対象者が道路交通法違反になる。
他の運転者に対しては、身体障害者マーク同様に聴覚障がい者マークも、「幅寄せ」や「割り込み」をした場合は道路交通法違反になる。
▉障がい者マークを入手する方法は?
それでは、各障がい者マークの入手方法だが、どのように購入すればいいのだろうか?
まず、車いすマークについては、あくまでも国際的な世界共通のシンボルマークであり、法的な効力はないため、Amazonのようなネット通販をはじめ、カー用品店、ホームセンターなどいろいろなところで入手が可能である。厳密にいうと、それらはデザインについても販売店やメーカーによって、若干の違いもあったりするが、法的効力がないがゆえの顛末ということが言えるかもしれない。
次に、道路交通法に則した身体障がい者マークと聴覚障がい者マークだが、警視庁からのアナウンスでは、全国の運転免許試験場内の売店での購入を呼びかけている。また、それら全日本交通安全協会の認定品であったり、道路交通法に適合している身体障がい者マークや聴覚障がい者マークとして、ネット通販などで売られているものを購入するという手もあるようだ。
▉障がい者マークと税金減免、駐禁除外はまったく別
冒頭でも触れたが、なんとなくの知識で語ることのできないのが、自動車税の減免や駐車禁止除外のこと。これらと障害者マークとはまったく別の申請や手続きが必要である。考えれば分かることだが、Amazonで誰でも手に入る障害者マークで、税金減免、駐禁除外が受けられるほど軽視されておらず、甘くはないことを知っておこう。
税金免除、駐禁除外を受けるには、最低限、身体障害者手帳などや決められた申請用紙が必要で、自動車税の減免申請であれば各都道府県の自動車税事務所へ、駐車禁止除外指定車標章の交付申請であれば、管轄の警察署への申請手続きが必要になる。
詳しいことは、各都道府県のホームページに掲載されている。そこでは各申請書がダウンロードできたり、申請に関する正しい情報を入手することが可能だ。掘り下げて行くと、駐禁除外は身体障害者本人が乗車していないときには使えないといったこともあるので、注意が必要。また問い合わせに関しては、税金減免は各地にある自動車税事務所、駐禁除外は最寄りの警察署になっている。