マニアが熱視線を送るワゴンボディも登場
国内では5ドアハッチバックのスポーツワゴンとして、「アルテッツア・ジータ」が2001年7月に追加される。セダン同様の「AS200」に加えて、4WDも設定される「AS300」には3000cc直列6気筒2JZ-GEが搭載され、スペックは220ps/5800rpm、30.0kgm/3800rpmを発揮する。これはスポーツモデルではなく、プレミアムワゴンとしての位置付けだった。
ジータはスタイリッシュなワゴンスタイルで、開口部の大きなリアセクションはボディ剛性確保のためかなり補強されるなどスポーツ性を謳っていたが、スポーツグレードの「RS200」は設定されず、ミッションも当初は6速MTが設定されていたが、マイナーチェンジで全車ATのみとなった。また、実用性よりデザインを重視したスタイルだったため、通常のワゴンモデルと比較すると荷室は狭くなっていた。
ニュルブルクリンク24時間レースにも参戦
レースではスーパー耐久のグループN+クラスに参戦し、2000年から2005年にクラスチャンピオンを獲得、2003年と2007年にニュルブルクリンク24時間レースに参戦するなど海外レースにも力を入れていた。また、2000年から2006年にネッツカップアルテッツアシリーズを開催し、プライベーターの登竜門としても人気だった。FRといえばD1などドリフト競技のベース車として、チューニング業界も注目し、様々なパーツがリリースされた。ボルトオンターボのトムス280T(限定100台のターボモデルで280ps)やモデリスタのクゥオリタートなどディラーコンプリート車の先駆けにもなっている。
高級路線を入れたことも「失敗」と言われる要因
このように本来ならばスポーツ性を前面に打ち出した、ライトウェイトスポーツセダンとなるはずだったが、レクサスブランドでも併売されるモデルとなったため、変に高級車化してしまい、中途半端な存在になってしまったことは否めない。
たとえば、パワー不足を指摘されたエンジンだが、同じ3S-GEを搭載し、当時生産されていたST202型セリカは車重が1210kgなのでパワーウェイトレシオは6.05kg/psとなる。対してアルテッツアは1340kgと、かなり重く、パワーウェイトレシオは6.38kg/ps。単純に想像するとセリカのほうが加速力は上ということだ。せめて「セリカ GT-Four」に搭載された3S-GTEが搭載されていたら、話は変わっていたかもしれない。車重は少し重くなるだろうけど、そのまま計算すると5.25kg/psになる。
じつはこの数値、100系ツアラーVが1470kgで280psなので同じく5.25kg/psなのだ。コンパクトサイズでツアラーVと同数値…、想像してみるとワクワクしてこないだろうか? もし、ピュアなスポーツセダンとして開発されていたら、本当にハチロクの再来として活躍できたかもしれない、悲運のクルマだった。ちなみにZN6型86は5.99kg/psだから、ST202セリカとほぼ同等ということになる。
アルテッツァ年表
1998年10月:アルテッツァ発売
2001年7月:アルテッツア・ジータ発売
2001年5月:マイナーチェンジ、フェイスリフトとディスチャージヘッドランプを設定
2002年8月:ディスチャージヘッドランプ標準装備へ(ジータは一部)
2005年3月:RS200廃止
2005年7月:レクサスの国内販売がスタートすることになり、高級志向の新型ISに切り替わるため生産終了