■リーマンショック(2008年)
アメリカのリーマンブラザーズの経営破綻により2008年に起きたリーマンショックは、世界的な景気低迷の引き金となった。リーマンショック後の日本の自動車業界をけん引したのは低価格のハイブリッドカーだろう。
2009年に登場した2代目インサイトと3代目プリウス、2011年登場の低価格で低燃費という軽自動車の原点のようなクルマとなった初代ミライースなどだった。
特に3代目プリウスは2代目インサイトの影響を受け、ボディサイズや装備内容といった内容を考えれば激安の205万円からという価格で登場。さらに政府が景気刺激策として行った13年落ちのクルマを廃車にした場合に得られる新車購入補助金やエコカー減税も追い風となり、空前の大ヒット車に成長。日本でのハイブリッドカーの普及の基盤を築いた。
もう一つは2009年登場の5代目レガシィの2010年の改良で追加されたアイサイトに代表される運転支援システム&自動ブレーキ装着車だ。
5代目レガシィは4代目までとはコンセプトを大きく変えたのもあり、4代目モデルまでの輝きや魅力のようなものを失っていたのも事実だった。
しかしアイサイトの追加以降はその性能の高さもあり5代目レガシィへの注目も一気に高まり、アイサイトはスバルにとって重要な基幹技術に成長。またアイサイトの登場以降競争により運転支援システム&自動ブレーキの性能向上が一気に進み、クルマ全体の安全性は大きく向上した。
■ポストコロナで求められるクルマは?
コロナウイルス禍により、クルマはコロナウイルス感染防止のため自分の空間を確保できる移動手段として見直されており、クルマの販売はいずれ伸びる可能性も十分ある。
このことを頭に置くと、ポストコロナで求められるクルマは2つと考える。1つは主に通勤などの使用を想定した簡便なクルマだ。短期的には中古車の需要が増えることもありそうだが、新車でも2人乗りで低価格だったかつてのスズキツインやトヨタiQをシンプルかつ低価格にしたようなクルマが求められるかもしれない。
もう1つは現在クルマを持っていない世帯もコロナウイルス感染防止も含めた移動手段としてクルマを求めるケースが増えそうだ。
そんな需要に向け、東南アジアで販売されているホンダB-RVや三菱エキスパンダーといったSUV寄りの3列シート車をシエンタやフリードより低価格で日本導入できれば、新たなマーケットとなる可能性は十分あるのではないだろうか。