60年代にアメリカで流行したホワイトレタータイヤ
タイヤといえば「黒くて丸い」と決まっている。自転車用のタイヤなどには、赤や白、青といったカラフルなタイヤもあるが、自動車用のタイヤは基本的に黒。これは1910年代にカーボンブラックを補強材に入れると、耐摩耗性や耐カットチップ性などの強度が飛躍的にアップすることがわかったためだ。
それから100年、タイヤはカーボンブラックの影響で黒一色がスタンダードとなった。なお、ブラックカーボンが採用される以前のタイヤは、ゴムの色そのものに近い白色やあめ色が主流だった。
そんな黒が常識のタイヤだからこそ、サイドウォールに白でメーカー名やブランド名を入れると非常に映えるというわけだ。1960年代にアメリカで、ホワイトレタータイヤやホワイトリボンタイヤが流行する。
古いアメ車には、このホワイトレターやホワイトリボンのタイヤがよく似合うが、最近ではSUVやバンなどにも、このホワイトレターのオフロード風タイヤを履かせてドレスアップを楽しむ人が増えてきている。ホワイトレターがあると、タイヤの存在感が増し、足まわりの力強さを強調させることができるからだ。
また、レース専用のタイヤにも、サイドウォールに白や黄色でブランド名がプリント(塗装)されているので、レーシングなイメージを作り出す効果もある。こうしたことから、最新のタイヤとしてホワイトレタータイヤをリリースしているタイヤメーカーが増えてきている。
ホワイトレターにしても通常と同じ耐久性
代表的な例を挙げるとトーヨータイヤの「OPEN COUNTRY R/T」などもそのひとつ。ちなみに、こうしたホワイトレタータイヤの白い部分は、塗料で塗って着色したものではない。トーヨータイヤによると、「サイドウォールのゴムは黒ゴム-白ゴム-黒ゴムのように3層に分かれており、加硫後にホワイトレターにする部分を削って、白いゴムを露出させている」とのこと。また、削りやすくするため、金型もホワイトレターの部分はほかの部分に比べて凸となるように設計されている。
「ちなみにホワイトレターにする部分のみ削っていますが、削っていない他のサイドウォールの部分についても、黒いゴムの直下にはぐるっと一周、白いゴムの層が見えないところで存在しております」とも教えていただいた。
前述の通り、白いゴムは耐久性も弱く、退色やクラックの心配もあるが、現在は技術的進歩で通常のタイヤと同等以上の耐久性を持っており、通常使用範囲においてホワイトレターに起因した故障は考えられないそうだ。
「サイドウォールのゴムにはひび割れ等を防止する「老化防止剤」が含まれており、老化防止剤が表面に浮き出て、ホワイト部分が茶色く変色する場合がありますが、これは洗浄によって汚れ等は落ちると考えられます。ホワイトガソリンやパーツクリーナー等を使用するときれいにふき取ることができますが、逆にゴムの劣化を早めることになりますので、頻度等使用する際には注意が必要です」というアドバイスも頂いた。
そのほかにも、ホワイトレターの補修やドレスアップ用塗料として、ペンタイプのタイヤマーカータッチカラー(ソフト99など)なども発売されている。DIYで自分のタイヤにホワイトレターを入れて、ドレスアップする方法もある。
クルマの足元を引き立て、見栄えを良くする手段として、ホワイトレターを取り入れてみてはいかがだろうか。