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車いす利用者が「恐怖」を感じることも! ヘルパーが教える「スロープ車両」乗降介助の10の注意点

現役ヘルパーが体験談で語る実際の注意点「10コ」

 車いすを利用している方が、そのまま乗車するためのスロープがついた“車いす仕様”の福祉車両。「車いす移動車」などとも呼ぶようだが、その乗降を介助する際になんとなくイメージはできても、実際にスロープ使ったりウインチを作動させるとなると、戸惑うことは目に見えている。そこで、資格を持つ現役ヘルパーの方に、車いすでスロープを上り下りするときの注意点を聞いてみた。

とにかく恐怖感を与えないことが大事!!

 頭では理解していても「やると大違いだった」と感じたり、反省することは世の常。それは福祉車両のスロープ付き車いす移動車だって同じ。もちろん、説明書や説明動画は自動車メーカーが用意しているし、スロープやウインチの使い方だって、分かりやすく丁寧に解説されている。

 でも、どうだろう。アナタが初めてスロープやウインチを操作する際、完全に使いこなすことができるだろうか? そこで、ここでは現役のヘルパーさんの体験談をもとに、操作手順を振り返ってもらい、注意点を挙げてもらった。

 一番重要なポイントは「とにかく利用者さんに恐怖感を与えないこと」だそうだ。スロープを上るとき、ウインチで巻き上げるときなど、機械頼みのオートマチックだから“安心”ということではなく、ボタンを押すときにも、常に優しい言葉をかけてあげるのが、車いすの方を怖がらせないポイントなのだとか。

 

スロープを使うときはココに注意

【注意点その1——車両を地面が平らなところに停める】
「まずは、福祉車両を止める場所を考慮する必要があるでしょう。地面がガタガタだったりナナメのところはスロープがガタつくため、できるだけ地面がまっすぐで平らなところを選びます」。

【注意点その2——スロープが正しく伸びているか?】
「次にやることは、スロープが正しい位置までキッチリと伸びているのかなど、利用者さんを乗せる前に必ず確認します。私は歩いて全体をしっかり目視で確認していました」。

【注意点その3——脱輪しないように】
「車両から引き伸ばしたスロープのセンターに車いすの位置をしっかりと合わせます」。

【注意点その4——ウインチのかかりを確認】
「ウィンチのフックがキチンと車いすと引っかかっているかを確認します。フックは車いすのキャスター(前輪/自在輪)につながる棒にかけるのが一般的です」。

【注意点その5——衣服などの巻き込みを防止】
「ウインチ巻き上げ時に衣服が巻き込まないように、利用者の衣服や持ち物(もちろん利用者さん本人の手なども収めてもらう)が、車いすからはみ出てないかを確認します」。

【注意点その6——ウインチのスイッチを押すときは声がけ】
「ウインチのスイッチを入れるときは、『今から車椅子が前に動きますよ』とか『今から車椅子が後ろに下がりますよ』と利用者に声をかけてからボタンを押します」。

【注意点その7——恐怖感をなくしてあげる】
「やはり、ウィンチなどで巻き上げていくため、意外と振動とか機械感が車いすに伝わります。声をかけないと恐怖感を感じられる場合もあります。健常者でも乗ってみたら結構怖いもんですヨ」。

【注意点その8——坂道での車いすの向き】
「もちろんスロープを上るときは、前を向いて。スロープを降りるときは背中側から下ります。これは、福祉車両での特別なことではなく、車いすで進む(動く)ときの坂道などでも同様の基本介助操作です」。

【注意点その9——車いすをロックする前に】
「軽自動車の福祉車両のスペース、車いすのサイズ、利用者さんの身長などを考慮して、運転席のシートを前後したり、リクライニングにしたときに、利用者の足が運転席に当たらないかなど確認します」。

【注意点その10——車いすの固定は厳重に!!】
「ウインチのロック、車いすの車輪のロック、シートベルトが確実に作動するかなどきっちりと確認します。発進したときに、ゴン!と動いてしまうこともあります。普通にシートに座る健常者の場合と違って、車いすという車輪がついてるもの上に座っているので、【固定する】ことはとにかく厳重に確認します」。

事前知識があればアナタも介護できる

 以上のように、実際のヘルパーさんに体験談をもとに注意点をうかがったワケだが、いつ、どんなときに、アナタもスロープやウインチを使って、車いすの方(家族や大事な人だったり……)を乗せる場面に遭遇するか分からない。そんなときにも、この10コのポイントをぜひ思い出して欲しい。

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