外から見てもわかるR/TとM/Tの違い
さて、ラギッドテレーンR/TとオープンカントリーM/Tとのガチンコテストの日、用意されたテストフィールドは1周約1kmの複合コース。砂利の混じった黒土のフラットダートばかりかと思いきや、奧には深い轍が左右にうねりながらマシンを上下に揺さぶる意地の悪い極悪路があり、途中にジャンプあり、バンクあり、急カーブありとタフでバラエティに富む構成だ。
テスト方法は至ってシンプル。昨夏の成功をドライビング面、マネジメント面双方から牽引したジャオス開発部 兼 TEAM JAOS ドライバーの能戸知徳(32歳)が自ら設定したコースを全開走行。同一マシンにオープンカントリーR/TとM/Tを履かせて数十周走り込み、その感触を確かめようという算段。
1周目、そして2週目と次第にペースを乗せて走り込む能戸選手。私を含め見学に訪れた編集者やジャーナリストもマシンの挙動を外から眺めていたのだが、タイヤをR/TからM/Tに変えたところである “違い” に気付かされた。徐々に乾きゆくドライの路面ではR/Tのほうがスムーズで傍目にも分かるほど速かった。
乗りやすさでは一枚上手のR/T
ジャンプ後、間髪入れずに左へ舵を当てなければならないポイントで、R/Tは着地後に一発で姿勢が決まってスッと向きを変えて行くのに対し、M/Tはジャンプ前から左に姿勢を変えながらの空中殺法。迫力のある走りだが、悪く言えば無理をしている感じである。イン側に立木のあるコーナーでもキスしそうなほど攻め込めているのはR/Tだった。
ドライバーの様子も違っていた。前半戦は涼しげにR/Tをテストしていた能戸選手だったが、タイヤ交換を挟んでM/Tでドライブをし終えた直後の顔は紅潮し、玉のような汗をかいていたのだ。どちらが楽に運転できたのかは一目瞭然。能戸選手のコメントからもそれは充分に伝わってきた。
「今日みたいなドライ路面ではR/Tがいいですね。路面にグリップしている感覚がステアリングにすごく伝わって来ます。荒れた路面での衝撃吸収性はM/Tのほうがいいのですが、R/Tと比べるとステア操作にワンテンポ遅れる感覚で「オリャ!」っと豪快に操作しないときっかけが造れないし、逆に流れて欲しくない時に流れてしまうイメージです。対してR/Tは操作に対するレスポンスがよく、回頭性やブレーキング性能を含め、乗りやすさでは一枚上手でした」
そして「正直、R/Tがダートでどれだけ通用するのか不安でしたが、そういう気持ちは一切なくなりました。剛性感もしっかりあって、2トンオーバーのクルマでも問題なく攻められる、というのが第一印象です。今年は乾期に行われる競技に参戦する可能性が高いので、競技ではメインをR/Tにしたいと思います」と締めくくった。
なんと。予想は見事に外れてしまった。